転移性脳腫瘍の症状

転移性脳腫瘍の症状は、がんによって損傷を受けた部位により、体が動かなくなる(運動麻痺)、言葉がしゃべれなくなる(言語障害)、性格が変わる(精神障害)などです。
  
がんが脳の一カ所だけでなく、複数の病巣を作ることもあります。また、頭蓋内にがん腫瘍ができ脳が腫れることによって脳が大きくなり、頭蓋内の圧力が上がって脳全体を圧迫するために、頭痛、嘔吐、意識障害なども引き起こします。
  
さらに、腫れた脳は行き場をなくし、脳幹、小脳扁桃、中頭蓋窩などのほかの部位に飛び出す脳ヘルニアという状態を起こすことがあります。脳ヘルニアは、脳の深部の出血を引き起こし死にいたる原因になる危険な状態です。

転移性脳腫瘍の原因

転移性脳腫瘍の原因は、体の他の場所にできたがんが脳に転移するためです。原因となるがんの治療中や治療後に転移が見つかるだけでなく、転移性脳腫瘍の症状が先に現れたことがきっかけとなって、原因となったがんが見つかることもあります。
  
脳に転移しやすいがんとしては、肺がんが半分以上を占め、乳がん、腸・大腸がん、胃がん、腎・膀胱がんが続きます。原因となるがんの治療から脳転移が確認されるまでの平均期間は、例えば、胃がんでは約7か月、乳がんの場合は42~60か月となっています。治療中・治療後には、原因となるがんだけではなく、転移性脳腫瘍も含めた定期的な検査が必要といえます。

転移性脳腫瘍の治療法

転移性脳腫瘍の場合、予防は難しく、早期発見・早期治療が重要になります。転移性脳腫瘍は、MRI検査やCT検査などの画像診断で見つけることができるので、2~3か月ごとの定期的な頭部画像検査をおすすめします。
  
転移性脳腫瘍の治療方法には、手術による腫瘍の切除、放射線療法、がん細胞の増殖を抑える薬剤を服用する化学療法があり、原因となるがんの状態によって治療方針が分かれます。原因となるがんの専門医と連携しながら、転移性脳腫瘍の治療を進めることになります。