急性呼吸窮迫症候群の症状

急性呼吸窮迫症候群は、一般的に原因となる傷害・疾患から24~48時間以内に発症するといわれていますが、4~5日ほど要することもあります。
 
主な症状は呼吸困難で、ときとして咳や胸痛が見られます。血液中の酸素濃度低下によりチアノーゼ性または斑状の皮膚異常や、他の器官が機能不全となり頻脈、不整脈、錯乱、嗜眠などが起こる場合があるため早期治療が必要です。
  
血液中の酸素濃度低下に伴い、損傷した肺細胞や白血球が作り出す特定のタンパク質が血管内へ漏れ出し、他器官に炎症や合併症を引き起こす恐れがあります。複数の臓器が機能不全に陥る多臓器不全という状態になることも少なくありません。

急性呼吸窮迫症候群の原因

急性呼吸窮迫症候群は、直接的あるいは間接的に肺を損傷する病気や状態により引き起こされます。直接的に肺を損傷するものとしては、肺炎、胃酸の誤嚥、肺挫傷、溺水などで、間接的に肺を損傷するものは、敗血症、重度の外傷、大量輸血などです。
  
肺にある肺胞や毛細血管が傷つけられることで血液や液体が肺胞間に漏れ出て、やがて肺胞にも入ってくるため、肺胞がつぶれて無気肺と呼ばれる状態になることもあります。肺胞内に液体が蓄積して多くの肺胞がつぶれると、空気中の酸素を血液中へ運搬することができず、血液中の酸素濃度が急激に低下します。そのため、腎不全、心不全などを合併する危険性が高くなるので注意が必要です。

急性呼吸窮迫症候群の治療法

急性呼吸窮迫症候群の原因疾患は多岐にわたるため、予防は非常に困難となります。しかし、かぜや肺炎を発症しないようにワクチン接種を受けたり、嚥下機能の異常が疑われたりする場合は誤嚥に留意することが大切です。
  
また、アルコール中毒患者で発症リスクが高いためアルコールの摂取を控え、禁煙も基本的な習慣とすることが重要です。治療開始の迅速さが予後を左右するといわれ、重度の場合は高次脳機能障害が残ることもあるので、注意が必要です。