先天性ミオパチーの症状

先天性ミオパチーには「乳児重症型」「良性先天型」「成人型」があります。「乳児重症型」は新生児期から発症し、全身の筋力の低下が顕著で、呼吸や嚥下障害を起こします。多くは1歳未満で死亡します。
  
「良性先天型」は先天性ミオパチーの中でも最も多い型で、乳児期から発達の遅れや筋力の低下がみられます。転びやすい、走れないといった歩行の異常があります。顔面筋に障害が出ると、表情が乏しくなり眼球運動障害も認められます。また、横隔膜が侵されると、呼吸不全を起こしやすくなります。運動発達の遅れは出ますが、通常の日常生活は可能です。「成人型」は稀で、成人になってから症状があらわれます。

先天性ミオパチーの原因

先天性ミオパチーの原因は、遺伝子の異常によるものです。ACTA1、 NEB、 KLHL40などの複数の遺伝子が原因となるものもあれば、RYR1の遺伝子変異が多くを占めることもあります。
   
病理学的に、発症原因が分類されていますが、最も多いのは、マネリンミオパチーという、筋肉の収縮を行うのに関係する構造タンパク質に異常がおこり、筋繊維にマネリン小体という糸くずのような構造体を認めるものです。
  
2番目に多いのが常染色体優性遺伝であるセントラルコア病で、90%以上の確率で、骨格筋内のリアノジン受容体に変異が認められます。そのほか、乳児重症型ミオチューブラーミオパチー、先天性筋繊維タイプ付近等症、中心核ミオパチーがあります。

先天性ミオパチーの治療法

先天性ミオパチーは遺伝子による発症なので予防することができません。発症していない人でも、祖先からの遺伝により、原因となる因子を持っている場合があります。可能性が高ければ、遺伝カウンセリングなどを受けることもあります。
現在は有効な治療法はなく、症状に合わせて治療します。
呼吸不全をおこしやすくなるので、感染症の予防や、呼吸管理が大切になります。重度の場合は自力で食事が取れないため、栄養管理が行われます。運動能力の遅れや筋肉の萎縮などがあるので、そのためのリハビリも必要となります。