肛門がんとは
肛門がんは、肛門の入り口から約3cmにわたり伸びる肛門管の皮膚や粘膜から発生します。大腸がんや直腸がんと比べると発症頻度は極稀で、60歳から70歳に多く見られる病気です。肛門管上部のがんは比較的女性に、肛門縁のがんは男性に多く見られるのが特徴です。
肛門がんの症状
肛門がんを患うとさまざまな症状に見まわれます。主な症状として、直腸肛門からの出血、肛門部の浮腫や痛み、繰り返し起こるかゆみ、排便異常、粘液分泌などが挙げられます。時にはこれらの症状が現れず、肛門や鼠径部のリンパ節の腫脹が見られることもあります。痔核による症状より軽いため、見過ごしてしまうケースが少なくありません。初期段階では、軽度でも徐々に進行していくのが肛門がんです。多くは医師が直接診て触れる消化器官の一部にできるもので、早期発見が可能なため、症状の程度にかかわらず、肛門科などを受診することが大切です。
肛門がんの原因
肛門がんの原因は明確にはされていませんが、肛門がんに関する危険分子はある程度確認されています。具体的には、
・50歳以上に比較的多く発症する
・肛門のイボやほくろががん化する
・有害化学物質によりがん化のリスクを増大させる喫煙
・前立腺、子宮頸部、膀胱、直腸など骨盤臓器のがんに放射線療法を行った人
大腸がんや他のがん同様、原因が分かっていませんが、肛門がんの中でも多く見られる扁平上皮がんや肛門上皮内がんは、ヒトパピローマウイルスの感染により発症することが分かっています。同ウイルスをもった相手との性行為によって発病することからHIV陽性者や肛門性交の受け手は、肛門がんの発症リスクが高くなります。
肛門がんの治療法
肛門がん予防には、日常生活においてさまざまな危険因子を見直すことが大切です。有効な予防法として、性交の時にコンドームを使用し、HIVウイルスにかからないようにする、子宮頸がんのワクチンの摂取、禁煙などが挙げられます。コンドームそのものが感染リスクを取り除くわけではありませんが、感染を減らすことはできます。
また、病歴を持っていることで肛門がん発症のリスクを高めてしまう子宮頸がんは、予防できるがんです。ワクチン接種や定期検診で早期発見・治療することで肛門がん予防にもつながります。
治療は、外科療法が中心となります。多くは肛門も一緒に切除して、人工肛門とする直腸切断術が行われます。
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