腎梗塞の症状

腎梗塞では、細い血管が閉塞された場合は症状が現れない場合がありますが、腎動脈の太い血管が閉塞すると壊死の部分が大きくなるため、急激に症状が現れることがあります。症状としては、激しい腹痛、39℃前後の高熱、吐き気、嘔吐などの他、血尿や高血圧が代表的なものです。
  
腎臓が壊死するため、血液検査では、白血球やGOT(グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)、LDH(乳酸脱水素酵素)の活性が顕著に増加し、アルカリフォスファターゼや血漿レニン活性が高くなります。壊死の範囲が広く症状が重い場合は、血清クレアチニン値、尿素窒素、尿酸の値が高くなる他、尿の生成力が低下して急性腎不全になる場合もあります。

腎梗塞の原因

腎梗塞の主要な原因は、血液中の血栓などにより腎臓の動脈が塞栓を起こすことです。原因となる血栓は主に、心房細動などの不整脈、僧帽弁狭窄症、心臓弁膜症、新内膜症などの心疾患によるものが大部分ですが、大動脈解離、外傷、全身性エリテマトーデスなどによって血栓が生じることもあります。
  
通常は動脈内の血栓が腎動脈を閉塞しますが、心房中隔欠損や卵円孔開存などにより、動脈系と静脈系の交通がわずかでもある場合は、静脈内の物質が腎動脈閉塞の原因となることもあります。血栓の他には、骨折などが原因で血中に入り込んだ脂肪や、がん細胞、血管壁から剥がれ落ちたコレステロール結晶なども腎動脈の塞栓を起こす原因の一つとなります。

腎梗塞の治療法

腎梗塞の主要な原因となっている心疾患は、肥満や動脈硬化が原因で引き起こされるものも多いため、予防のためには生活習慣を改善し、心疾患を予防することが最も効果的です。  
  
食生活では、脂肪分やエネルギーの過剰摂取を控え、野菜を積極的に摂取することで、肥満や動脈硬化を予防できます。また、喫煙は動脈硬化を促進し心疾患を引き起こす重要な危険因子であるため、予防のためには禁煙も有効です。
  
その他、適度な運動習慣、過度の飲酒を控える、なども肥満や動脈硬化を予防し心疾患の発生を抑えるためには効果があります。

早期発見が大切で、血栓溶解薬や抗凝固薬にて治療がされます。カテーテルによる局所の血栓溶解やステントなどによる血管形成術、血栓吸引などの治療が有効であることもあります。