ビタミンA欠乏症の症状

ビタミンA欠乏症の症状としては、目の暗順応の反応が遅くなり、夕方薄暗いところで細かい文字などが見えにくくなる夜盲症(鳥目)の症状が特徴的です。また、涙の分泌量が減少し眼球の結膜が乾燥したり、視力が低下したりすることもあります。
  
目の症状以外では、体の表面にある上皮細胞の角質化により、皮膚や粘膜などの荒れや乾燥がみられるほか、免疫機能の低下や成長期の子どもの成長阻害などもビタミンA欠乏症の症状として起こることもあります。深刻なビタミンA欠乏症は栄養状態の良い先進国ではあまり見られませんが、栄養状態の良くない発展途上国ではよく見られ、子どもが失明する原因ともなっています。

ビタミンA欠乏症の原因

ビタミンAは体内では合成できず食品から摂取する必要があるため、ビタミンAの摂取量の不足が、ビタミンA欠乏症の主要な原因です。ビタミンAは目の網膜にあるロドプシンの原料であり、ビタミンAが不足すると、目の網膜で光を受容するロドプシンが合成できなくなります。
  
暗所では、ロドプシンが増加して暗順応が起こり、暗がりでも徐々に目が見えるようになるため、ビタミンA欠乏によりロドプシンの合成量が低下するとあらわれる、暗順応の反応が遅くなる症状が夜盲症です。
  
また、ビタミンAは正常な細胞分化のためには必要な栄養素であるため、不足すると皮膚や粘膜などの上皮細胞の角質化や機能低下、成長阻害の原因となります。

ビタミンA欠乏症の治療法

ビタミンAはウナギ、レバーといった食品に多く含まれるレチノールという物質ですが、緑黄色野菜に含まれるβカロテンは体内で分解されてビタミンAに代わるため、レチノールと同様の効果を持ちます。ビタミンA欠乏症の予防には、日ごろからこれらのビタミンAやβカロテンを多く含む食品をバランスよく摂取することが重要です。
  
また、サプリメントによるビタミンAの摂取もビタミンA欠乏症の予防には効果がありますが、過剰に取りすぎると、頭痛、めまい、骨がもろくなる、肝臓の機能低下などの過剰症が起こることもあるため、注意が必要です。