肝内結石とは
肝内結石(症)は、肝臓の中にある胆管に結石ができる病気です。病気自体は良性ですが、治療が難しく、再発を繰り返す可能性が高いため、難治性疾患として扱われていて、厚生労働省の特定疾患に指定されています。
症状
肝内結石は、全胆石症の2%程度です。1999年度の調査によると、全国の患者数は5900人で、そのうち新規症例は1000例程度と推定されています。肝内結石の代表的な症状は、腹痛と発熱です。食事をした後などに、みぞおち、右上腹部、右背部などに刺すような痛みや張りがみられます。痛む場所は結石ができた場所によって異なります。目などに黄疸が出ることもあります。しかし、無症状で、検査などで偶然発見されるケースが多いです。
再発する可能性が高く、再発を繰り返すと、敗血症や肝膿瘍など重症の感染を引き起こしたり、肝硬変や肝不全になったりして死亡するケースもあります。また、患者の4~8%に肝内胆管がんの発生もみられます。
原因
肝内胆石の原因はよくわかっていませんが、先天性や遺伝性のものはほとんどなく、衛生環境や食生活が関与しているといわれています。肝内胆石が減少しているのは、衛生環境がよくなったためだと考えられています。肝内の胆石の約8割がビリルビンカルシウム石です。胆管に細菌が侵入すると、細菌内の酵素によって胆汁中のビリルビンがカルシウムと結合し、結晶化します。これがビリルビンカルシウム石です。
肝内結石の患者は、胆管が膨らんだり狭くなっていたりすることが多くみられます。そのため、胆汁の流れが悪くなり、胆石ができるのではないかと考えられています。なぜ胆管が変形するのかはわかっていません。
治療法
肝内胆石の原因は、衛生環境や食生活や、胆管の形が関係しているといわれていますが、詳しいことはよくわかっていません。そのため予防は難しく、再発の予防方法も確立していないのが現状です。飲酒や喫煙との因果関係もないのではないかと言われています。肝内胆石の治療は、内視鏡を用いて総胆管から肝内胆管に管を進めたり、エコーを用いて肝臓の外から針を刺して管を肝内胆管に入れて結石を取り出す手術が一般的です。これらの方法でも結石を取り除けない時には肝内結石にある部分を切除することがあります。エコーを用いて腹部に小さな穴を開けて、経皮経肝胆道鏡(PTCS)を肝内胆管に差し込み結石を取りだす方法は、再発の際などに用いられます。再発に伴う肝硬変や肝内胆管がんの早期発見のためには、注意深い経過観察が大切です。
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