黒色表皮腫の症状

黒色表皮腫は、皮膚に角質増生、乳頭腫症、真皮乳頭状隆起が対称性に多発、融合し、褐色や黒褐色の色素沈着がみられる疾患です。腋窩、頸部、陰股部に好発し、 乳房下部や項部、肘窩、膝窩、肛囲、また、全身に現れることもあります。種々の病変の合併として生じ、基礎疾患によって良性型、悪性型、仮性型の3種に分類されます。
  
良性型黒色表皮腫は、内分泌障害に合併して生下時から思春期にかけて発症します。悪性型黒色表皮腫は中高年期の内蔵悪性腫瘍に合併し、皮疹が先行する場合もあります。仮性型黒色表皮腫は青年期に起こりやすく、肥満に伴って現れたり消失したりします。

黒色表皮腫の原因

黒色表皮腫は基礎疾患の合併症であり、主に3つの原因があげられます。優性遺伝のほか、血糖値に対し血中インスリンが高いため皮膚のインスリン受容体に異常が起こり、皮膚細胞が増殖、黒色化すると考えられています。内分泌障害や先天異常によって起こるものは「良性型」とされています。
  
腫瘍随伴症候群の一つである悪性型は、特に胃の腺がんに伴って生じます。悪性型は高齢者に多く、腫瘍の成長開始に伴って生じるため、高齢者においては腫瘍を検索すべき皮疹とされています。肥満にともなう仮性型もインスリン抵抗性が原因となり発症すると考えられています。

黒色表皮腫の治療法

黒色表皮腫は種々の疾患の合併症であるため、基礎疾患の治療や予防が黒色表皮腫の予防に?がります。
  
特に良性型や仮性型のインスリン抵抗性が基礎にあるものは肥満との関連が深く、肥満は高血圧や動脈硬化、糖尿病、心筋梗塞などの重篤な生活習慣病を発症するリスク因子でもあることから、生活習慣の改善を含めた適切な治療が求められます。
  
高齢者において黒色表皮腫を発症した場合は、悪性型を疑い内臓悪性腫瘍の検査を行います。早期発見、早期治療ができれば、病状進行の予防が可能です。