ブルセラ症/波状熱の症状

ブルセラ症は、グラム陰性球桿菌を病原菌とする、ヤギ、牛、豚等の家畜の人獣共通感染症です。この細菌は世界中に分布しており、特に地中海沿岸やインド、アラビア半島に多くみられますが、日本で発病することは非常にまれです。
  
人間がこのブルセラ属の細菌に感染すると、5日から3週間程度で発病します。人間の場合は、頭痛や腰痛、関節痛、筋肉痛、発汗、全身の倦怠感、うつなどの症状が現れます。
  
特徴的なのは、発熱です。午後から夕方にかけて40度程度の熱が出て、夜間になると下がります。2、3週間このような状態が続き、1、2週間は発熱がなく、また次の2、3週間発熱するといったように、発熱と平熱を繰り返します。

ブルセラ症/波状熱の原因

家畜がブルセラ症に感染すると、乳汁や尿、胎盤等に、ブルセラ属の細菌が多く混じるようになります。このため、人間への感染は、感染した家畜との濃厚な接触や、細菌が混入した生乳などの食物を摂取した場合におこります。
  
また、感染した家畜の尿や胎盤、羊水等の分娩の残物等に触れた際に、皮膚の傷や、目、気道等の粘膜などから感染する場合もあります。実験室等でブルセラ属の細菌を直接吸い込んだ場合にも感染します。人間から人間への感染は、極めてまれですが、母乳を介しての乳児への感染や、妊婦の胎盤を通じて胎児が感染する場合も報告されています。

ブルセラ症/波状熱の治療法

ブルセラ症と診断された場合は、安静にし、抗菌薬(抗生物質)の投与が行われます。重症化すると、脳炎、髄膜炎、心内膜炎、骨髄炎等を起こす場合もあるので、注意が必要です。
  
予防のためには、海外旅行中は、殺菌していない乳製品の摂取は避けることが大事です。また動物の内臓等を触らなければならないような場合は、ゴーグルや手袋、マスクなどを着用するようにします。家畜やペットの感染予防も大切です。ワクチンがある動物については、予防接種を行います。