水疱性角膜症の症状

水疱性角膜症を発症すると、角膜がむくみます。角膜は、黒眼の部分で、ドーム状の透明な膜になっています。眼球に光を通す入り口と、入った光を屈折させる2つの役割を果たす器官です。その78%は水分でできており、角膜内細胞によって0.5mmの厚さに保たれています。
 
その角膜がむくむと、厚みが1mmほどにもなり、光が通りにくくなります。また、角膜の表面である角膜上皮に水が溜まり、水疱が形成されます。すると、角膜はすりガラスのように曇るため、視力の低下を招き、表面にできた水疱によって痛みが生じます。角膜上皮が剥がれやすい状態になり、もし剥がれてしまうと、強い痛みを感じます。

水疱性角膜症の原因

水疱性角膜症の原因には、フックス角膜内皮ジストロフィや外傷、内眼手術後など角膜内皮疾患が多いです。また、白内障の手術を受けた後や、レーザー虹彩切開術の後に発症するケースも増えてきています。
  
角膜の内皮細胞が増加することはありません。そのため、遺伝的に内皮細胞が弱い場合や、外傷や手術、感染症によって内皮細胞が傷つくと、発症します。長期間にわたりコンタクトレンズを装用していると、内皮細胞が少しずつ徐々に減少していくことで、水疱性角膜症になることもあります。
  
加齢にともない、角膜内皮細胞が減少するのも原因の1つです。20歳前後から細胞数の減少が始まります。

水疱性角膜症の治療法

水疱性角膜症の治療は、角膜上皮が剥がれてしまい、痛みが発生している場合、ソフトコンタクトレンズを装用したり、軟膏や高張食塩水を使用したりして行います。浸透圧が作用し、角膜内の水分を排出する効果が期待できます。
  
視力の低下が著しく、前述の方法で痛みに対する改善がみられない場合には、角膜移植を行います。角膜の障害部分だけを移植する角膜パーツ移植が多く行われています。手術時間が短く、危篤な合併症の心配も少ない方法です。術後に乱視や屈折変化を起こしにくい特徴があります。