上顎洞がんとは
上顎洞がんは、鼻の横から奥にかけて広がる大きな空洞の上顎洞に発生するがんのことです。上顎洞の中に、炎症によって膿がたまる蓄膿症(慢性副鼻腔炎)が原因となる場合があります。
上顎洞がんの症状
上顎洞がんの主な症状は、蓄膿症や花粉症、風邪の症状と似ており、鼻詰まりや鼻汁などが見られます。区別がつきにくいですが、片方の鼻のみが詰まるという特徴があります。これは、鼻の左右両方にある上顎洞の両側同時にがんが発生することはほとんどないためです。また、がん細胞が周辺の組織を侵食していくため、鼻汁には出血や膿が混じり、悪臭のある粘度の高いものになります。上顎洞は上あごや目に近いため、がん腫瘍が巨大化すると、歯の痛みや歯肉の腫れ、顔面特に頬の腫れや眼球の突出などの症状が見られることがあります。自覚しにくい症状が多いため、発症に気付かず、治療せず放置してしまうこともあります。
上顎洞がんの原因
上顎洞がんを引き起こす原因のほとんどは、蓄膿症です。上顎洞の中が炎症を起こし、膿が蓄積していくことで起こります。この蓄膿症を、放置しておくと、慢性的な蓄膿症へと発展してしまい、上顎洞がんの発生リスクが高まります。蓄膿症を長期間患うと、洞内にある多列繊毛上皮が、重層扁平上皮に化生し、扁平上皮がんを発生するのです。
しかし、全ての蓄膿症ががんに移行するというわけではありません。上顎洞がんを発症すると、慢性副鼻腔炎が合併して発生することが多いのです。近年は蓄膿症の治療が進歩したことで、治癒するケースが多いため、上顎洞がんの発生率が減少傾向にあります。
上顎洞がんの治療法
上顎洞がんの治療は、放射線療法と化学療法の併用が一般的です。この治療により、上あごの温存が可能になりつつあります。患者の約50%~80%が完治できるようになっています。放射線や抗がん剤の効果が得られないほどに上顎洞がんの進行が進み、症状の悪化がみられる場合には、眼球や上あごの一部もしくは全部を摘出する外科療法を行います。早期に治療する場合は、内視鏡を鼻の穴から入れ、がんを切除する方法が適用できますが、進行が著しいと、歯茎を切開して上顎洞のがんを切除する必要があります。
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