症状

老人性紫斑は、高齢者の手の甲や前腕、下肢や背中など、外部からの刺激を受けやすい場所にみられることが多いです。確認が難しい軽度な外傷であり、紫紅色からくすんだオレンジや黄色などの褐色に変化していきます。

外傷は斑状出血です。弾力線維変性などによって支持組織が弱くなり、血管が破れやすい状態になるためです。結合組織間が不十分なのにもかかわらず、広がっていくため、古い紫斑と新しい紫斑が混在します。取り込む機能も弱まっているため、吸収には数週間を要します。通常は痛みがありませんが、なかには刺すような痛みを感じる人もいます。

原因

老人性紫斑は、加齢によって皮膚が薄くなり、血管が脆くなることが原因です。年齢を重ねると、コラーゲンや脂肪組織が減少していきます。これらは血管を保護する機能を担っているため、減少すると血管を守れなくなります。さらに、皮膚が薄くなっていきます。
  
血管そのものも脆くなっていき、弾力線維や膠原繊維が委縮するため、弱い衝撃でも皮下出血が起こります。薄くなった皮膚から皮下出血が透けてみえるため、紫色の斑点に見えるのです。出血傾向の有無を検査することで、老人性紫斑の診断が可能です。出血傾向が起こる場合は、血小板機能に異常があったり、凝固因子が減少したりしています。

治療法

老人性紫斑は加齢が原因のため、予防法は確立されていません。軽い衝撃で内出血を起こすため、手の甲や前腕などぶつけやすい場所は衣服や手袋で保護するようにします。また生活の場でぶつけにくくなるように家具の配置を考えることもよいです。一般的には、数週間ほどで自然に消滅してしまいます。そのため、治療法もなく心配なものではありません。
  
斑点の色が濃かったり、痛みを伴ったりする場合には、患部を包帯などで保護することで、早い回復が期待できます。ステロイドの使用は、皮下出血を悪化させる可能性があるため、一時的に使用を中止するようにします。