化学熱傷の症状

化学熱傷は、原因となった化学物質によって症状や経過には差があります。また、化学物質に触れていた時間や成分濃度によっても違いが生じます。
  
化学熱傷の場合は、化学反応を起こしながら進行していきます。内部にまで化学物質が浸透すると、不活化・除去・消費・中和するまで進行は止まりません。
  
原因となる化学物質によっては、肝毒性や腎毒性があるものもあります。化学物質が付着した皮膚は、赤くなって腫れあがります。水ぶくれができたり皮が剥けたりします。重症の場合は、壊死や潰瘍を引き起こす可能性があります。目の場合は角膜混濁や失明に至ることもあります。

化学熱傷の原因

化学熱傷は、化学物質が皮膚や粘膜などに接触することが原因です。薬品などの原料として使用される化学物質はさまざまですが、複数の化学物質が混じったことで刺激が増加し、有毒化するものもあります。
  
そのため、有毒性のない化学物質でも、混じり合うことで害が生じることもあるため、触れたり吸い込んだりすることで、損傷の恐れがあります。化学物質そのものが細胞を傷害したり、二次的に発熱作用などが生じたりして、局所の炎症や組織壊死を引き起こします。
  
工場や実験室などでの事故に加え、家庭で消毒剤や洗浄剤、漂白剤やさび落とし、カビ落としなどの化学薬品を誤使用することも原因の1つです。

化学熱傷の治療法

化学熱傷を起こした場合は、まず損傷の程度を把握することから始めます。損傷個所が皮膚局所のみなのか、気管や眼、胃や食道など他の臓器にも及んでいるのかを調べます。重症化している場合は、専門施設での治療が必要です。原因物質の特定も対処法が変わってくるので重要です。
  
化学物質の接触時間によって進行の程度が変わるため、汚染した着衣はすぐに除去します。損傷部位を大量の水道水で洗い流し、化学物質を除去します。基本的には6時間以上の洗浄が必要です。場合によっては、皮下注射やふき取りなどに中和剤や拮抗剤を使用します。必要に応じて呼吸や循環器等の全身管理も行われます。