単純ヘルペス脳炎とは
単純ヘルペス脳炎は、単純ヘルペスウイルス(HSV)による急性脳炎です。側頭葉、大脳辺縁系などに壊死や出血が認められます。小児では6歳以下が多く、成人になると50代から60代にかけて多くなっています。
単純ヘルペス脳炎の症状
長期的な発熱が続くが咳などのカゼ症状がみられず、頭痛、嘔吐に加えけいれん発作、髄膜刺激症状、意識障害などがあれば単純ヘルペス脳炎が疑われます。初期の段階で幻覚やせん妄による異常行動をきたすことも少なくありません。失語症や聴覚、言語障害、味覚障害などが現れることもあります。口内炎や皮膚炎などのヘルペス性の水疱は本症ではみられないことが多いです。
新たな薬の投与が開始されたことや診断による早期発見が可能になったため救命度は上昇傾向ですが、死亡率は20~30%とされています。小児の場合だと発熱、活力がなく哺乳力の低下がみられ、かつけいれん発作を繰り返す場合は単純ヘルペス脳炎の可能性があります。
単純ヘルペス脳炎の原因
単純ヘルペス脳炎の原因となる単純ヘルペス脳炎ウイルスはHSV-1とHSV-2の2種類が存在します。HSV-1は口唇型であり唾液から直接感染あるいは患者の咳やくしゃみによって飛沫感染します。HSV-2は性器にできるヘルペスで性行為によって感染します。新生児期は出産時に母親の性器ヘルペスから移ることが多いことからHSV-2の割合が比較的高くなっています。出生直後、羊水を介して感染や水平感染の場合もあります。しかし、新生児期以降になるとほとんどの原因がHSV-1になります。
口から侵入したウイルスは、上気道を通って嗅神経を経由しさらに上まで上がって直接大脳辺縁系に入り込むと考えられています。
単純ヘルペス脳炎の治療法
単純ヘルペス脳炎の死亡率はおよそ30%といわれていましたが、抗ウイルス薬の開発が進んだおかげで死亡率は減少しましたが、重篤な後遺症をもたらすことも少なくありません。乳幼児の場合は自分で症状を訴えることが困難なので母親が察知してあげることが大切です。不自然な点がみられたら小児科医の下でCT、MRIなどの画像検査、血液検査、髄液検査などを行う必要があります。
ウイルスによる脳の破壊が進行する前に抗ウイルス薬の投与をはじめることで予後の状態も変わってきます。
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