無痛性甲状腺炎とは
無痛性甲状腺炎とは、何らかの理由で、甲状腺の細胞が破壊された結果、甲状腺ホルモンが血液の中に漏れ出してしまう疾患をいいます。一時的に甲状腺ホルモンが増加しますが、甲状腺に痛みが発生しないため、無痛性甲状腺炎と呼ばれます。
無痛性甲状腺炎の症状
無痛性甲状腺炎では、最初、一時的に甲状腺ホルモンが増加するために全身の代謝が高まり、動悸や暑がり、体重の減少など、甲状腺機能亢進症の症状が現れます。その後は、壊れた甲状腺の細胞が修復されるまで、逆に甲状腺ホルモンが減少するため、むくみや寒がり、体重増加などの甲状腺機能低下症の症状が現れます。その後、自然と甲状腺の細胞が修復され、症状も治まります。この疾患は、出産後にみられたり、バセドウ病の病歴がある人に見られる傾向があります。症状自体もバセドウ病に似ており、紛らわしいですが、自然に症状が治まることや、眼球突出がみられないことなどは、バセドウ病とは病態が異なります。
無痛性甲状腺炎の原因
無痛性甲状腺炎の原因は、今のところ、まだよくわかっていません。出産がきっかけとなって誘発されることも多いですが、そうでない場合も多いです。発症した人の中には、慢性甲状腺炎(橋本病)を持っている人も多く、免疫の機能異常に関連のある疾患であると考えられています。無痛性甲状腺炎の診断は、TSHレセプター抗体の状態を検査します。バセドウ病は、基本的にTSHレセプター抗体が陽性です。甲状腺機能亢進症があり、TSHレセプターが陰性であれば、無痛性甲状腺炎の確率が高くなります。しかし、時にバセドウ病との区別がつきにくい場合があり、その時は、放射性ヨード摂取率の検査を実施する場合もあります。
無痛性甲状腺炎の治療法
無痛性甲状腺炎は、自然に治癒する病気です。したがって、治療は、ホルモン量を加減するような治療ではなく、対症療法になります。動悸などの症状がひどい場合に、そういった症状を軽減する薬を使用するなどします。過労などに注意しながら甲状腺ホルモンが低下する時期までやり過ごすことが治療の主です。なお、甲状腺ホルモンが低下した時期を過ぎても甲状腺ホルモンの量が増えない場合もまれにあるため、経過をチェックし続けることが大切です。
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