ビタミンK欠乏症とは
ビタミンK欠乏症とは、体内のビタミンKが不足することにより、出血しやすくなる疾患です。ビタミンKは、肝臓で生成されるプロトロンビンという血液凝固因子に関与しているため、ビタミンKが不足すると、血液が固まりにくくなり、出血する確率が高くなります。
ビタミンK欠乏症の症状
ビタミンK欠乏症は、新生児や乳児、抗生剤の使用により、腸内細菌が減ってしまった人等が発症しやすい疾患です。新生児に症状が現れるものとしては、新生児メレナがあります。下血や吐血など、消化器系の期間が出血するものです。腸内でビタミンKを生成する腸内細菌叢が未熟なことにより、ビタミンKが不足するためで、腸内細菌叢が発達すれば、自然と症状はなくなります。乳児の場合は、生後1・2か月ぐらいで頭蓋内出血を起こす場合があります。これは、特発性乳児ビタミンK欠乏性出血症といわれ、死亡例も出ています。特発性乳児ビタミンK欠乏性出血症は、母乳で育てられた乳児に多くみられます。
ビタミンK欠乏症の原因
通常は、ビタミンKは、腸内細菌叢で生成されるので、不足することはありません。ビタミンK欠乏症を発症するのは、腸内細菌叢が未熟である新生児や乳児が多いです。しかし、成人についても発症することがあります。抗生剤の投与などの結果、腸内細菌が減ってしまった場合や、食事の摂取量が減ってしまって、外部から摂取するビタミンKの量が減少した場合、閉塞性黄疸を発症して、ビタミンKの吸収に寄与する胆汁の分泌が減少し、ビタミンKの吸収ができなくなった場合等が考えられます。これらの条件が揃うと、成人でもビタミンK欠乏症になりうる可能性があります。
ビタミンK欠乏症の治療法
ビタミンK欠乏症の予防としては、新生児に対してのビタミンKの予防投与があげられます。出生から24時間以内に1回、6日目に1回、1か月後に1回、ビタミンK2シロップを内服させることを、1980年に厚生省が勧告しています。現在は、この予防方法の効果が有効であるとの認識が広く浸透しています。ビタミンKは、納豆や海藻、緑黄色野菜などに多く含まれます。成人の場合は、バランスのとれた食事を取り、ビタミンKを多く含む食品を意識しながら、偏らない栄養の摂取を心がけることが大切です。
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