腸管出血性大腸菌感染症の症状

腸管出血性大腸菌感染症は、無症状から溶血性尿毒症症候群や脳症などの合併症を起こし死に至るケースまでさまざまです。
  
主な症状は腹痛、下痢、血便などです。潜伏期間は2~9日程度で、その後激しい腹痛を伴う水様性の下痢が現れ、発症1~2日あたりから血便も見られます。下痢は1日に4~5回以上あり、数日間続きます。
 
発熱を伴う場合がありますが、高熱になることはありません。その他に、吐き気や嘔吐が見られることもあります。通常、発症4~8日程度で自然治癒しますが、下痢がひどい場合は入院しなければなりません。乳幼児や小児、高齢者は合併症を起こすことがあるため注意が必要です。

腸管出血性大腸菌感染症の原因

腸管出血性大腸菌感染症は、ベロ毒素を産生する「腸管出血性大腸菌」が原因で発症します。日本でもよく知られるO157も腸管出血性大腸菌の一つです。他の食中毒を引き起こす細菌に比べると毒性が強く、少数の菌で感染を起こすため、人から人への二次感染にも注意しなければなりません。
  
ほとんどの場合、腸管出血性大腸菌で汚染された飲食物の経口摂取が原因で発症しますが、感染者の糞便で汚染されたものを何らかの形で口にすることでも感染します。O157による感染が最も多く、その他にO26、O111、O128、O145などがあり、他の食中毒に比べて潜伏期間が長いため、原因食品や感染源の特定が困難なのが特徴です。

腸管出血性大腸菌感染症の治療法

腸管出血性大腸菌感染症の予防策は、汚染食品からの感染がほとんどであることを留意し、食品の十分な加熱や調理後の食品を残さないようにすることが大切です。調理時にはこまめに手を洗い、生野菜などの食材や調理器具の衛生にも気を配る必要があります。
  
二次感染の原因である糞口感染を避けるため、手洗いの徹底は欠かせません。感染者の介護をする場合は、使い捨ての手袋を使用するのも効果的です。小児や高齢者は抵抗力が弱いため重症化するケースも多いので、周囲の人が食品などに注意する必要があります。

治療は、対症療法が中心です。(下痢に対して整腸剤の使用など)
生活面では水分補給や消化のよい食事の摂取、安静を心がけましょう。
抗菌剤の使用に関しては、医師が病状に応じて判断し使用していくでしょう。