肺動脈弁狭窄症の症状

肺動脈弁狭窄症では、一般的に中程度以下であれば成人に至るまで何年も無症状で自覚症状が見られないため、心雑音などで発見される場合が多くなります。
  
重症者の場合、心拍出量に影響を及ぼし疲労や呼吸困難が現れ、進行すると頸静脈怒張、チアノーゼ、胸痛、右心室肥大、低酸素血症などが見られます。また、過度の運動時に失神を起こし心不全を起こすこともあるため注意が必要です。
  
軽度の場合は治療が必要ありませんが、それ以上の場合ではバルーン付きカテーテルを利用した治療が行われ、開胸手術はほとんど見られません。新生児や乳児の重症者でなければ、おおよそ治療が可能です。

肺動脈弁狭窄症の原因

肺動脈弁狭窄症は先天性に起因し、成人にはあまり見られな疾患です。本来、動脈弁には3枚の膜がありますが、生まれつきその膜が2枚しかなく、弁に負担がかかるために硬化や血液の逆流が起こり発症します。その他には、リウマチ熱の後遺症として発症したり、ファロー四徴症や心房中隔欠損症などの先天性疾患に合併して発症したりするケースも見られます。
  
近年では、老化とともに動脈弁が硬化して石灰組織が沈着して弁の働きが悪くなる「加齢に伴う肺動脈弁狭窄症」も増加の傾向です。高血圧や高コレステロールとの関連が疑われていますがはっきり分かっていません。

肺動脈弁狭窄症の治療法

肺動脈弁狭窄症はゆっくりと進行する疾患で、突発的には起こることがなく、また、治療方法も確立されている疾患です。先天性の場合は予防が困難ですが、早期発見に努めるのが最大の予防となります。
  
後天性の場合は高血圧や高コレステロールなどの生活習慣病との関連が疑われているため、塩分を控えるなど食生活に配慮し、体重管理を心掛けます。適度な運動も効果がありますが、過度の運動は肺動脈弁狭窄症を引き起こす恐れがあるため、注意しなければなりません。