総肺静脈還流異常症とは
総肺静脈還流異常症とは、先天性心疾患の一種です。本来、血液は肺で酸素を受け取り、肺静脈を通じて左心房に戻ってから全身を巡りますが、これが左心房ではなく右心房や大静脈へと行ってしまう病気です。
総肺静脈還流異常症の症状
総肺静脈還流異常症は、先天性心疾患の0.3~2%を占める病気ですが、大部分は出生直後から症状が見られます。皮膚や粘膜が紫色を呈するチアノーゼや、呼吸困難が主な症状で、肺の血流が滞る肺うっ血と呼ばれる症状も現れます。こうした症状が見られる場合、聴診器を用いた診察や心エコー検査、胸部X線写真などにより総肺静脈還流異常症の診断を下すことが可能です。特に出生直後の場合、総肺静脈還流異常症の症状は急激に進行するため、できる限り早い外科的手術を行う必要があります。稀に生後数ヶ月は症状が見られない場合もありますが、上述の検査により病気の発見は可能です。
総肺静脈還流異常症の原因
総肺静脈還流異常症は先天性心疾患であり、胎児の頃に心臓が形成される際、肺動脈と左心房の接合が上手く行われなかったために起こります。左心房と接合されなかった肺静脈は、多くの場合どこか別の場所(例えば右心房や大静脈)に接合しますが、接合された側はこうした状況のため、本来の許容量を超えた血液を受け取らなければならず、負荷が増すこととなります。
総肺静脈還流異常症の症状の出方は肺静脈の出口の狭さに依存し、狭いほど肺の血流の流れが滞るため、肺うっ血などの症状をあわせて起こしやすくなります。また肺静脈の出口が広い場合は、肺の血流が増加するため、体に流れる血流が減少し、心不全を起こしやすくなります。
総肺静脈還流異常症の治療法
先天性の疾患である総肺静脈還流異常症を確実に予防する方法は確立されていません。遺伝的な要素も多少なりとも関わっているとする説もあります。多くは出生直後に症状が出るため、すみやかに手術を行うことで、予後治療へ専念することが可能です。胎児の心臓を超音波によって検査する方法も存在するため、生まれる前に病気を発見することも可能であり、そうした場合はあらかじめ出産後の心構えや対策、手術の準備などについて担当医と相談することが大切です。
外科的治療としては、肺静脈を左房に吻合し、心房中隔欠損や異常血管を閉鎖する根治術が行われます。
しかし合併症のリスクがあるため、人工呼吸等の全身管理を行いながら、時期や方法を慎重に検討する必要があります。
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