肝腫瘍の症状

「沈黙の臓器」とも呼ばれる肝臓にできる肝腫瘍は、発生したばかりの頃にはなかなか症状が現れません。腫瘍のサイズが5cmよりも大きくなると、発熱や黄疸、痛みなどの症状が現れてきます。
  
悪性の肝腫瘍である肝細胞がんの場合には、肝硬変の症状に似た、全身の倦怠感や食欲不振などの症状が観察されます。また、同様に悪性であり、原発性でもある肝芽腫(かんがしゅ)の場合には、肝臓のある位置に硬いでこぼことしたこぶ(腫瘤)が現れます。
  
特に肝芽腫は乳幼児に多い病気のため、本人は症状を訴えない場合も多く、周囲の大人が急速に増大する上腹部腫瘤がないか観察しないといけないです。

また各種癌の転移が肝臓におこり転移性肝癌ができることもあります。転移しているということは進行している状況なので予後は厳しいものとなります。

肝腫瘍の原因

肝腫瘍のできる原因には、さまざまなものが存在します。
    
・肝細胞がんが原因の場合
B型、あるいはC型の肝炎ウイルスに感染した状態が長く続くと、肝細胞がんにかかりやすくなると言われています。また、体内に取り込まれたアルコールのほとんどは肝臓で代謝されるため、アルコール飲料を多く飲む人は肝臓に負担を強いることになり、結果的に肝細胞がんを起こしやすくなります。また脂肪肝もひどいと脂肪肝炎から肝硬変、肝がんになることもありますので脂肪肝も侮ってはいけません。
  
・肝芽腫が原因の場合
乳幼児に多い病気である肝芽腫は、未熟な肝細胞から発生すると言われています。がん細胞の増殖を抑制するための遺伝子異常や、それに関連した蛋白質の異常などが関連しているとする説もあります。

肝腫瘍の治療法

肝腫瘍には上述したようにさまざまな種類のものが存在しますが、成人してから多く発症する肝細胞がんを予防するためには、過度のアルコール・カロリー摂取を控えることが大切です。また積極的にウイルス検査は受けておかれたほうがいいでしょう。
  
乳幼児に多い肝芽腫を予防するための方法は、現在のところまだ確立されてはいませんが、低体重児は肝芽腫を発症しやすいとも言われているため、特に低体重で生まれてきた子どものいる方は、症状が重くなる前に治療を開始できるように、定期的に専門医の検診を受け、病気の早期発見につとめることが大切です。

治療法は癌の大きさや種類により異なり外科的切除、経皮的エタノール注入療法(PEIT)、経皮的マイクロ波凝固療法(PMCT)、ラジオ波焼灼療法(RFA)、経カテーテル肝動脈塞栓療法(TAE)、抗癌薬動注療法などが選択されます。