網膜色素変性の症状

網膜色素変性の症状には大きく3つのものがあります。
・夜盲-暗いところでものが見えづらくなる
・視野狭窄-視野が狭くなる
・視力低下
網膜色素変性の初期段階で起こるのが夜盲です。

網膜には錐体(すいたい)と細胞と杆体(かんたい)という2つの細胞があります。網膜色素変性ではまず周辺の視野や暗い中で光を感じる機能を持つ杆体細胞が先に影響を受けます。このため初期の症状として夜盲、進行するにつれ周辺視野が狭くなり人やものにぶつかりやすくなったりするなど視野狭窄の症状が現れてきます。

この病気は数年から数十年と時間をかけて症状が進行していきますが場合によっては失明に至ることもある病気です。

網膜色素変性の原因

網膜色素変性は網膜上の色素上皮細胞における遺伝子の異常が原因とされています。
遺伝の形式は
・常染色体優性遺伝
・常染色体劣勢遺伝
・X染色体劣性遺伝
で発症しています。

しかし同様の病気を親族が持っている患者は全体の半数ほどで、残りの半数は遺伝傾向が認められません。遺伝傾向が認められない患者でも遺伝子のどこかに異常があると考えられています。実際に原因となっている遺伝子が特定できる場合はごく少数で、ほとんどの場合は原因となる異常遺伝子が不明です。

網膜色素変性の治療法

網膜色素変性は原因が特定できていない遺伝性の病気であるため、確立された予防法はありません。

また根本的な治療法も確立されていません。症状が現れた時点でヘレニエンなどの暗順応改善薬やビタミンAなどの内服薬が処方され進行を遅らせる効果が期待されていますが効果は証明されていません。

現在、世界的に治療法として人工網膜や網膜幹細胞移植、遺伝子治療などの研究が進んでいます。なかでも病気の進行を遅らせるのに有効とされている網膜神経保護の研究が盛んに行われています。