無脾症/無脾症候群とは
無脾症候群は先天性の疾患で、根治治療が難しいとされています。左右別々の形であるべき内臓が左右同じ形となって形成される病気です。この病気は全身の臓器が右側の成分で形成されていて胃の左側にある脾臓がないことが多いため「無脾症」と呼ばれています。
無脾症/無脾症候群の症状
「無脾症」は内臓が右側の形態を取るものですが、逆に左側の形態をとったものは「多脾症」と言われます。「無脾症」は心疾患を伴わないものも稀にみられますが、その多くは複雑な心疾患を合併しています。なかでも単心房、単心室により多くは新生児期にチアノーゼが現れ疾患に気がつきます。主な心疾患としては
・肺動脈閉鎖もしくは狭窄
・胎児期に左右2本存在する上大静脈は胎児成長の過程で1本に合流しますが、この1本が退化せずに遺存してしまう「上大静脈遺残」
・本来なら左心房に流れるべき4本の肺静脈が右心房や大静脈に韓流してしまう「総肺静脈還流異常」
など緊急的な治療が必要となる心疾患を合併します。
無脾症/無脾症候群の原因
「無脾症」は先天性の疾患です。明らかな原因は解明されていませんが遺伝性の病気で染色体の劣勢遺伝によるものです。心疾患が重大な症状として現れますが、脾臓や腎臓、肝臓、膵臓など心臓以外の臓器においても症状が見られます。合併がみられる心疾患では出生後に命に関わる重篤な状態になることもあります。心臓以外の臓器では腸の回転異常による腸閉塞なども見られることがあります。無脾症の患者は重篤な感染症が起こりやすいこともわかっています。
発熱、嘔吐、虫歯などの症状が出た場合には特に注意が必要となります。突然の嘔吐や激しい腹痛を訴えた時などは迅速な対応を要し、その後は注意深い観察が必要です。
無脾症/無脾症候群の治療法
「無脾症」の発症は出生数全体の0.01%程度とされています。先天性の疾患のため予防法はありません。「無脾症」で心疾患を伴っている場合の多くは、手術が必要です。肺動脈に異常がある時には肺動脈絞扼術やシャント手術、体肺動脈短絡術などを行うなど、合併のある場合は異常がみられる部位について必要な手術を組み合わせて行います。治療の過程で弁逆流や不整脈などが起こることも多く、治療が難しい病気です。
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