せん妄の症状

せん妄は、幻覚、妄想、不安、不眠、興奮など異常行動や異常体験を認めます。
初期は、不安でいらいらする、不機嫌で黙りこむ、ぼんやりしていて何もしない、わけの分からないことを言ったり、つじつまの合わない会話をする、考えがまとまらないなど、混乱しているように見えます。

一般的には、意識障害中の記憶はありません。ストレスやいつもと違った環境で悪化します。せん妄には、過活動型、低活動型、混合型の3つのタイプがあります。過活動型は、幻覚、妄想、興奮、見当識障害が出現します。低活動型では、混乱、活動の低下が目立ち、見過ごされたり抑うつ状態と間違われたりしやすいのですが、低活動型の方が予後が悪いと言われています。

せん妄の原因

意識障害の原因は、大脳皮質の一時的障害と、大脳皮質の二次的機能低下の二つに大別されます。

一時的障害は、くも膜下出血、脳炎、発熱、低酸素脳症、全身的疾患、薬物中毒などにより大脳皮質にびまん性の障害が生じることにより起こります。
また、睡眠薬、抗不安剤、ステロイド、インターフェロン、抗パーキンソン薬、抗コリン剤などの薬が影響することもあります。
アルコール依存者が酒を止めた後に起こるせん妄や、手術後に起こるせん妄もあります。

二次的機能低下は、意識の覚醒状態維持に重要な働きをなす上行性網様体賦活系の障害による大脳皮質の機能低下、脳幹や視床を含む脳出血や脳梗塞などが原因となります。脳卒中後にせん妄が起こることが多いとされています。

せん妄の治療法

予防としては、日中は運動を行い睡眠・覚醒のリズムを維持させるようにする、使い慣れた品物を置くようにし、環境の変化には気をつけるようにする、一度に多くの刺激を与えない、家族や友人との面会を増やし、良好なコミュニケーションをとれるようにする、ストレスを与えないよう拘束は最小限にするなどがあります。また、無意識のうちに危ない行動をとることも多いため、安全を確保することも大切です。
せん妄が発症したら、まずは原因を取り除きます。そして対症療法として薬物療法を行います。使用する薬物としては、抗精神病薬、抗うつ薬などがあります。患者本人は判断力がないので、家族に副作用や保険適応外であることを説明し同意を予め得ておくべきでしょう。
回復後、本人は覚えていないので、説明を十分に行い、不安を解消することに努めてください。