脊髄腫瘍の症状

脊髄腫瘍として最も多いのが硬膜内髄外腫瘍(intradural extramedullary tumor)となります。この大部分は神経鞘腫であるか、もしくは髄膜腫となります。この形態の腫瘍の類似疾患として、くも膜嚢腫(arachnoid cyst)、他には脊髄動静脈奇形(arteriovenous malformation)などもあります。

神経鞘腫はシュワン細胞から発生するもので、その多くは後根神経から発生するため、腫瘍は楕円形となり神経根に沿って硬膜外に浸出するようになるため神経症状が強く出現するようになります。治療のため腫瘍を摘出しようとすると、後根は保存できないため、手術後の生活動作にも影響が残存します。具体的な症状としては、疼痛や神経根症状、錐体路障害が強く出現するようになります。

脊髄腫瘍の原因

脊髄腫瘍の原因としては、由来となる細胞組織によって異なります。脂肪腫であれば成熟した脂肪組織が軟膜下に集中する事で発生する事があります。脂肪腫は悪性腫瘍ではありませんが、脊髄との境界は癒着が強く摘出は難しくなります。血管芽腫は血管内皮細胞由来の良性腫瘍ですが、独立して発生するものと、von-Hippel-Lindau病の一部として発生することがあります。

星細胞腫は脊髄神経膠腫の中では上衣腫とならんで、発生頻度が高いもので、神経膠細胞の中の星細胞由来の腫瘍となります。脊髄内の左右に偏在することが多く、浸潤性に周辺に発育していきます。上衣腫は脊髄中心管の上衣細胞由来で脊髄の中心に発生します。この脊髄上衣腫の約30%は終糸にも発生し、髄外腫瘍の形態をとります。

脊髄腫瘍の治療法

脊髄腫瘍の治療の基本は外科的治療が基本となります。進行が進む前に予防的に摘出することで身体への影響を最低限に抑えることが必要となります。マイクロサージャリーや術中脊髄モニタリング技術が向上しているため、腫瘍摘出の安全性や術後の機能的予後も向上しています。しかし、術後の神経機能障害や完全摘出できない腫瘍の存在など問題点もあります。

硬膜内髄外腫瘍では、その大半が良性腫瘍であり、背側か側方にあるため、外科手術での後方侵入により腫瘍を摘出する事が多くなります。その際には椎弓形成術や片側椎弓切除術を行い、術後の脊柱変形を予防する事が必要となります。