老人性脂腺増殖症とは
皮膚の異常に関する疾患には様々なものがあります。皮膚の異常は、傷や発疹からはじまり内臓疾患が原因で生じるものなどもありますが、加齢により生じるものもあり、そのうちのひとつが老人性脂腺増殖症です。老人性脂腺増殖症は、若年層に生じた場合は脂腺増殖症となります。美容の観点から切除する人が多い疾患です。
症状
老人性脂腺増殖症の症状は、その名のとおり若年層には発症しにくい疾患で、中年から高齢者の、女性よりは男性に発症します。調査によると、65歳以上の男性の約10パーセントにみられるという結果が出ました。中年よりも若年者に生じた場合はただの脂腺増殖症と呼ばれます。男性の顔面のうち前額部、頬部、鼻の周囲に外観的に特徴のある直径が2~6mmほどある黄色または白色の丘疹または小結節が見られます。表面は平たんで、中心部分がへそまたはドーナツ状にくぼんでいることが特徴です。ひとつだけ生じることもありますが、多くが単発が複数個、顔に生じるようにできます。
丘疹はやわらかい腫瘍であり、成熟した脂腺の増殖であり良性なので放置していても外見上の変化以外には特に問題はないとされています。
原因
老人性脂腺増殖症は、特に男性の顔面の毛穴に開口する脂腺が成熟して、ブドウの房状に増殖しておこるとされています。脂腺が増殖する原因は、加齢や男性ホルモンが皮脂腺に作用して皮脂腺の増殖を起こして発症すると考えられています。上記以外の原因としては、シクロスポリンなどの免疫抑制薬や副腎皮質ホルモン薬の内服後に発症したりすることもあり、薬剤の影響が考えられるともに、内臓の悪性腫瘍に伴う症例や免疫不全の関連が指摘される場合もあります。若年者に生ずる場合は、脂腺の増殖を促す男性ホルモンであるアンドロゲンの分泌異常や免疫不全が考えられます。
特徴的な皮膚の変化であるので臨床的に診断できることが多いですが、ざ瘡、稗粒腫、汗管腫や毛包上皮腫、基底細胞上皮腫、基底細胞癌などのほかの病気との鑑別が要ります。
治療法
老人性脂腺増殖症は、加齢による皮膚の変化が原因で起こる皮膚の疾患とされている良性の腫瘍なので、これを予防することは難しいとされています。それ以外の原因である、副腎皮質ステロイド薬の内服などで起こった場合は、これらの薬の量を減量することにより症状が軽くなる場合もあるので、内服薬をとりすぎないことが予防となりえます。老人性脂腺増殖症は自然に治ることはありませんが、良性の腫瘍なので切除しなくても問題はありません。しかし、美容的な観点からとる場合は、外科的部分切除、液体窒素による冷凍凝固術やレーザーによる切除、スキンピーリングなどが一般的とされています。
老人性脂腺増殖症は良性ではありますが、免疫不全が原因の場合もあるので、病院に受診することが必要です。
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