薬剤起因性腸炎の症状

薬剤起因性腸炎はO-157やノロなどのウイルスによる腸炎などと同じように、下っ腹の鈍い痛みや腹がゴロゴロと鳴る腹鳴が見られます。4~5日間に渡って、激しい水のような下痢が続き、症状が続くと脱水を引き起こしたり、血が混じる血便を発症してきます。血便が続くと、血が足りなくなって貧血を起こしたり、大腸の粘膜の全体にびらんや潰瘍という粘膜の損傷も起こすようになります。

薬剤は体内に入ってから肝臓で解毒し、血流に乗って代謝されてから効力を発するため、原因となる薬剤を中止しても数日は症状が続きます。昼夜問わない下痢や腹痛で体力を消耗しないように、点滴で栄養と水分を補給しながら、体の中から薬剤が排泄されるのを待つのが最善の方法です。

薬剤起因性腸炎の原因

薬剤起因性腸炎の原因の多くは抗生物質による善玉菌の減少です。他にも善玉菌を減らす薬剤として、抗がん剤、免疫抑制剤、頭痛や腰痛などの痛み止めに使われる非ステロイド性消炎鎮痛剤がありますが、菌そのものを殺菌してしまうという薬剤の特性上、抗生物質が一番の原因となります。
抗生物質は肺炎、膀胱炎など体の炎症に広く使われる良い薬ですが、抵抗力が落ちていて、腸内環境が良くないところに用いると、更に腸内環境を荒らしてしまいます。腸は免疫を司る臓器でもあるため、腸にダメージを与えることは体の抵抗力にもダメージを与えることになってしまいます。抗生物質を投与してもらうときには、辛い症状があって、やむを得ない時だけに留めることが必要です。

薬剤起因性腸炎の治療法

薬剤起因性腸炎の予防は、出来るだけ原因となる薬の投与を避けて、腸の健康に気を付けることが必要です。抗がん剤や免疫抑制剤など、病気の治療に不可欠となる薬が使われる場合には、整腸剤をあらかじめ処方してもらい、常に腸内環境を整えておくことも重要となります。
薬を全く飲んでいない普段の生活から、ヨーグルトや食物繊維、オリゴ糖などの腸に良い食品を摂ると、薬を飲む事態に陥っても腸炎を引き起こす心配が減ります。免疫を司る腸を鍛えるためには、毎日の継続が欠かせません。腸の病気を予防することは、すべての病気を予防することにもつながります。

治療は、まずは薬剤を中止し、対症療法で様子をみるのが基本となります。