PCB中毒とは
PCBは、正式名称をポリ塩化ビニフェルという多くの異性体をもつ物質の総称です。かつては、熱媒体やトランスの絶縁体、複写紙などに用いられていましたが、現在では、原則使用禁止となっています。この物質によって引き起こされる中毒がPCB中毒です。1968年にカネミ倉庫製造の米ぬか油中に混入しており、大規模な中毒事件が発生したことでも有名です。
PCB中毒の症状
PCB(ポリ塩化ビニル)中毒の症状は、顔面や臀部などに皮疹が現れ、顔面や口腔内、爪などに色素沈着や眼脂などが特徴的な症状です。この中毒症状のある患者が妊娠および出産した場合、新生児は、メラニン色素が強度に沈着し、黒い赤ちゃんが生まれてくることがあります。PCB中毒による母体から胎児への影響も認められています。若年の女性患者の場合、子宮内膜症などの生殖障害が発症するとの報告があり、きわめて注意が必要です。
血清中のトリグリセリドと呼ばれる中性脂肪の著しい増加がみられ、脂質代謝異常が起こります。また、色素沈着や皮疹などによって診察され、血中のPCB濃度やPCBの二量体であるPCQ濃度などによって診断が確定します。
PCB中毒の原因
PCB中毒は、ポリ塩化ビフェニルの大量摂取が原因で、現在では、中毒の原因物質であるPCB自体の使用は原則的に禁止されています。また、国際的にもPOPs条約で2028年までに全廃する目標が掲げられ、国際的にも有毒物質として認知されて規制されています。しかし、過去の使用によって環境が汚染されたため、現在でも魚介類などによってわずかに摂取されていますが、生物濃縮等も考慮しても、健康には影響のないレベルだと考えられています。
治療としては、絶食治療によって有毒物質の排出を促進します。また、コレステロール低下薬と食物繊維を服用すると、排出が促進されたとの報告もあります。その他、対症療法により治療を試みますが、これは困難です。
PCB中毒の治療法
PCB中毒を予防する為には、とにかく原因物質であるポリ塩化ビニフェルを摂取しない事が重要です。それ以外の防ぐ手立てはなく、自分の身は自分で守らなくてはいけないということです。また、現在でも生物濃縮によって摂取量が増えることも考えられますので、注意は必要ですが、検査済の製品であったりするとより安心です。
それでも、現在のレベルでは、健康には影響はないとの報告が出ていますので、過剰な対応はかえって逆効果になる場合があり、注意が必要です。基本的に根治することはない為、予防の段階で体の中に取り込まないことがとても大切です。
- このコンテンツは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法、専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません
- 専門家の皆様へ:病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください