病原性大腸菌食中毒の症状

病原性大腸菌食中毒の症状は、感染した大腸菌の種類によって、重症度などが異なります。腸管出血性大腸菌が原因である場合には、初期の状態では軽度の下痢や激しい腹痛などが生じます。
さらに病状が進行すると、激しい血便や合併症が生じ、場合によっては死に至るケースもあります。合併症で腎障害を起こし、溶血性尿毒症症候群や脳症といった病気を併発することもあるため、注意が必要です。

その他、腸管病原性大腸菌や毒素原性大腸菌、さらには腸管侵入性大腸菌などが原因菌の場合には、潜伏期間を経た後、下痢や発熱、嘔吐などの病状が表れます。各病原菌への感染に応じて、体に表れる病状や潜伏期間などがかわります。

病原性大腸菌食中毒の原因

病原性大腸菌食中毒が発病する原因としては、食物についた大腸菌を食べてしまうことにあります。原因菌としては、腸管組織侵入性大腸菌や腸管病原性大腸菌、腸管毒素原性大腸菌や腸管凝集性大腸菌、あるいは腸管出血性大腸菌といった種類が確認されています。これらの菌を、飲料水や食品を通じて摂取することにより、病気を引き起こします。
病原性大腸菌食中毒の発端となる大腸菌の中には、ベロ毒素という強力な毒素を作り出すものも存在します。ベロ毒素は、大腸の血管壁を破壊し、結果として出血を引き起こさせます。さらにこの毒素は、腎臓や脳、神経などにも悪影響を及ぼし、合併症を引き起こします。そのため、注意が必要です。

病原性大腸菌食中毒の治療法

病原性大腸菌食中毒に対する予防方法としては、病気の原因となる大腸菌のついた食べ物をとるのを防ぐことが何より大切です。そのため、飲料水や食料品の衛生管理に気を配る必要があります。菌が手につくことを防ぐため、十分に手洗いを行うことや、調理に使用する容器や包丁、まな板などを熱湯を用いて殺菌するといった対策方法があります。
また、食材はよく加熱することによって殺菌ができます。さらに、料理を調理した後には、菌が繁殖する前に早めに食べるということが大切です。加えて、生肉や生の井戸水などの摂取について、避けることも懸命な対策方法です。