症状

家庭用防虫剤中毒により現れる病状としては、どのような防虫剤を服毒するかによって大きく変わります。ナフタリンを服毒した場合には、主な病状として血液中の赤血球が崩壊し溶血します。

さらに病状が急性であれば、頭痛や嘔吐、吐き気、さらには、発汗や腹部の不快感、ふるえといった病状を示します。またさらに病状が重症となった場合には、意識に障害がもたらされます。

一方で、樟脳が家庭用防虫剤中毒の原因の薬剤である場合には、吐き気、嘔吐、頭痛、興奮、意識障害、肝障害、腎障害、呼吸抑制、痙攣が生じます。樟脳による致死量は小児で1g、大人で2gと猛毒です。

原因

家庭用防虫剤中毒が起きる原因は、防虫目的で用いられる薬剤を服毒することによるものです。家庭用防虫剤として用いられるパラジクロルベンゼンやピレスロイドは、毒性が低いため、服毒量が多くなければ影響はありません。

しかし、ナフタリンや樟脳といった家庭用防虫剤は、ごく少量でも体に対して強い中毒の症状を示すようになります。現在、家庭用防虫剤として用いられている薬剤は、パラジクロルベンゼンやピレスロイドであり、これらは毒性が弱いため、中毒に対してあまり神経質になる必要はありません。

しかし、ナフタリンや樟脳の家庭用防虫剤を誤ったりあるいは故意に服毒した場合には、早急に中毒による各種の病状を改善するための治療を行う事が必要です。

治療法

家庭用防虫剤中毒への予防の方法は、原因となる家庭用防虫剤を服毒しないことが大切です。こうした中毒の問題は、乳幼児などが家庭の中で誤って飲み込むといった事例が多いです。この事から、乳幼児などが誤って家庭用防虫剤を飲み込まないように、あらかじめ万全の対策を立てておくということが重要なことです。
しかし、もし家庭用防虫剤中毒に陥ったならば、治療を必要とします。この中毒に対する解毒剤は存在しません。そのため、中毒症状による患者の痙攣や呼吸の停止に備えて、適切な対処の治療を行っていくことが方法としてあります。樟脳中毒は胃洗浄、活性炭の投与、けいれん止めを用います。重症で早期の場合は特殊な樹脂で血液を浄化することも推奨されることもあります。