小児特発性関節炎の症状

小児特発性関節炎とは子どもに起こった原因不明の慢性の関節炎のことを言います。手首、ひじ、足首、ひざなどに現れ、指の関節などにも生ずることがあります。

症状は関節が腫れて激しく痛み、可動域も狭くなり、歩くことや物を持つことが難しくなります。午前中は症状が重く、時間の経過とともに改善していくのが特徴で、10歳以上の女児に多くみられる傾向にあります。

普通の関節炎と違って左右対称に起こることも特徴で、関節炎の状態が長く続くと軟骨、骨の破壊や関節内の線維化などで関節の変形などの後遺症が残ることもあります。

この小児特発性関節炎には、ほかにこうした関節炎のほか弛緩熱や皮疹など全身症状を伴う全身型というものもあります。

小児特発性関節炎の原因

小児特発性関節炎の原因は今のところはっきりしません。ただ、関節炎の形成にサイトカインが重要な役割を果たしていることはわかっています。

サイトカインというのは免疫細胞から排出され、人体の免疫機能を担う物質ですが、関節の免疫をコントロールする免疫細胞が過剰なサイトカインを排出することによって、自分自身の関節や滑膜の細胞を自分の敵と間違って攻撃しているのが原因ではないかと言われています。

発症には人種差があることから、小児特発性関節炎は遺伝性の疾患とも言われていますが、兄弟が揃って発病していることはまれであるなど、そこまで明確な因果関係は立証されていません。遺伝的な要因と環境、免疫反応が相まって発病に至っているのではないかとも言われています。

小児特発性関節炎の治療法

小児特発性関節炎については原因もはっきりしておらず、想定されているのが遺伝的要因や環境、免疫反応ですから、これを予防することは極めて困難といえます。
ただ、これを早期に治癒させて関節の変形などの後遺症を残さないようにしていくことは可能です。そのためにはできるだけ早期に治療を開始する必要があります。
日本ではステロイドや免疫抑制薬、生物学的製剤を用いた治療を行いますが、これで大半の子どもたちは改善に向かいます。関節炎の症状をみながら、これらの薬の組み合わせや量を適宜調整しながら様子をみます。