外傷性胸部圧迫症とは
外傷性胸部圧迫症とは、胸部に強い圧力が加わることによって、頭頚部や肺の血管に損傷がもたらされるものです。胸部を中心とした血管の損傷により、顔の様子に変化が表れるようになったり、あるいは肺血管の機能が損なわれることにより、肺本来のガス交換の機能について障害が生じます。
外傷性胸部圧迫症の症状
外傷性胸部圧迫症による症状には、顔や頚部に点状の出血が見られます。また、皮膚が紫色に変色するといった外見上の変化がもたらされます。さらに、くちびるや舌が腫れたり、眼瞼結膜の出血なども生じます。その他、意識障害を引き起こすといった可能性もあります。外傷性胸部圧迫症によって、肺の血管に破損などの問題が生じた場合には、十分にガス交換が行われなくなります。
このことから、全身に対して低酸素血症の病状を引き起こすことになります。具体的には、手足の冷えや不整脈、さらには呼吸を乱すといった病状が起きます。また、外傷性胸部圧迫症による病状がさらに深刻になると、肝臓や腎臓などの重要な臓器に対して悪影響が及びます。
外傷性胸部圧迫症の原因
外傷性胸部圧迫症が起きる原因としては、胸部に対して強い力が加わることが直接的な原因としてあります。声門が閉じた状態から胸部への強い圧迫により、圧迫部分周辺の静脈の圧力が高くなります。その結果として、頭や首、さらに肺の静脈や毛細血管が損傷を負います。こうした胸部に対する強い圧迫が生じる要因としては、高い場所から転落したり、あるいは交通事故などがあります。その中でも、持続的に胸部に対して強く力が加わった場合に、外傷性胸部圧迫症の各種の病状が起きる可能性が高いです。
そのため、もし胸部を強く圧迫されるような状態に置かれたならば、すぐにその状態を脱した上で、血管の損傷による病状を抑えるための対策を必要とします。
外傷性胸部圧迫症の治療法
外傷性胸部圧迫症への予防の方法には、胸部が圧迫される可能性を防ぐことが対策方法としてあります。交通事故や重量物の落下事故などで挟まれるようなことがないように、事前に危険予測などを行っておくことが必要です。また、胸部の圧迫によって外傷性胸部圧迫症が生じた場合には、治療方法がありません。そのため、外傷性胸部圧迫症によりもたらされる呼吸困難や、意識障害に対する対症療法が具体的な方法です。気道の確保や酸素の吸入といった各種病状への対処によって、生命維持と病状改善のための治療を実施します。
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