先天性アデノシンデアミナーゼ/ADA欠損症とは
先天性アデノシンデアミナーゼ/ADA欠損症とは、生まれつきプリン代謝系酵素が欠けていることにより、血液中の正常なリンパ球が減少する病気です。免疫を司るリンパ球が機能しなくなる結果として、微生物に対する抵抗力が著しく低下するので、各種の感染病を発症します。
先天性アデノシンデアミナーゼ/ADA欠損症の症状
先天性アデノシンデアミナーゼ/ADA欠損症により現れる症状としては、多様な感染症の病状を示すようになるということがあります。気道の感染症が起こった場合には、特有の咳の病状が生じます。また、消化器官が微生物に感染し、下痢が続くようになります。さらに、口の中には白い斑点のようなカビが繁殖します。その他、肺の微生物感染により、肺炎の病状が生じます。また加えて、発育にも悪影響が及び、発育不良が見られるようになります。
先天性アデノシンデアミナーゼ/ADA欠損症が発症する時期によって、重症複合免疫不全症型や幼児期発症型、さらに小児後期発症、またあるいは成人になってから発病する成人発症型などに分類されます。
先天性アデノシンデアミナーゼ/ADA欠損症の原因
先天性アデノシンデアミナーゼ/ADA欠損症が起きる原因は、プリン代謝系酵素の一種であるアデノシンデアミナーゼが、先天的に欠けていることによるものです。アデノシンデアミナーゼの酵素が機能しないと、抗体の役割を果たすリンパ球のB細胞やT細胞の機能が著しく減少します。そのため、本来であれば抵抗できるような微生物に対しても、抗うことができなくなります。先天性アデノシンデアミナーゼ/ADA欠損症による免疫力の低下が、微生物によりもたらされる感染症を引き起こす原因です。このリンパ球の減少を改善することができず、免疫の低下が継続する場合には、ほとんどの患者はやがて重い感染症にかかることになり、早期に死に至ります。
先天性アデノシンデアミナーゼ/ADA欠損症の治療法
先天性アデノシンデアミナーゼ/ADA欠損症に対する予防方法は、この病気が先天的なものによることから、具体的な対策を取ることができません。そのため、抗生剤などの予防内服を行いながら感染予防を徹底的に行うことと同時に、免疫力を回復するための治療を中心に行う必要があります。方法としては、抗原が一致する人からの骨髄移植療法があります。しかし、必ずしも骨髄移植を行うために必要な抗原が一致する因子を持つ人が見つかるとは限りません。そのため、動物から抽出したアデノシンデアミナーゼの酵素を外から補給するための酵素補充療法や、あるいは遺伝子に対する治療の方法が、今後、医療の発展に伴い選択肢としてでてくる可能性があると思います。
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