アミノ酸代謝異常症の症状

アミノ酸代謝異常症とは、体の中でのアミノ酸の分解に欠陥があるかアミノ酸を体内に取り込む能力に欠陥があることで起こります。どのアミノ酸を処理できないのかによりさまざまな症状が現れます。
フェニルケトン尿症は、新生児にはすぐはあらわれず、乳児期から起こる疾患で、知的障害やけいれん、吐き気、嘔吐、発疹、色素欠乏、体臭異常、攻撃的・自傷的な言動や、多動などが知られています。
メープルシロップ尿症は、けいれんや知的障害などが起こります。さまざまな種類があり、生後一週間からけいれんや昏睡をおこし死亡するものから、ストレス状態に置かれた時に嘔吐や錯乱、昏睡などをおこすだけのものもいます。ホモシスチン尿症は3歳を過ぎたころに視力低下や骨格異常などがあらわれ、チロシン血症は肝臓や腎臓の機能障害が起こります。

アミノ酸代謝異常症の原因

アミノ酸代謝異常症の原因は、生きていくうえで必要不可欠なアミノ酸の処理機構がうまく働かないことにより起こります。アミノ酸の分解または、アミノ酸を細胞内に取り込む能力に欠陥がある場合に起こり、その欠陥の原因は遺伝的なものであるとされています。
フェニルケトン尿症は、フェニルアラニンというアミノ酸を分解できないためにおこり、食事により得た過剰なフェニルアラニンが分解されず、血中に蓄積され、脳に対して毒性を持つことによりさまざまな症状が引き起こされます。
メープルシロップ尿症は、一部のアミノ酸が正常に代謝できず、これらの副産物が蓄積し、神経系に変化をおこします。
ホモシスチン尿症はホモシスチンが代謝されず蓄積されることにより起こり、チロシン血症はチロシンが代謝されずに起こります。

アミノ酸代謝異常症の治療法

アミノ酸代謝異常症は、その原因が遺伝性のものであるために予防は難しいとされています。しかし、これらの症状があらわれるのかどうかの検査である、新生児スクリーニングを行うことにより早期発見とともに症状を重症化させないための予坊策をとることができます。
アミノ酸代謝異常症の治療法はその症状により異なります。代謝異常のあるアミノ酸は、摂取することは必要ですがとりすぎると代謝・分解できず毒性を示すため、多くの場合は食事制限が行われ体内に入る量を調節します。この食事制限は続けなければ通常の生活を送ることが困難な場合もあります。また食事制限により症状が軽減することもあります。そのほかにはビタミン注射や透析、輸血などがあります。