弾力線維性仮性黄色腫とは
弾力線維性仮性黄色腫とは、弾力線維の組織が壊れることにより、皮膚や、眼球、血管などに強度に障害があらわれる病気です。ABCC6と呼ばれる遺伝子の異常により発症する先天性の遺伝性疾患といわれています。網膜色素線条、眼底出血、高血圧、脳梗塞、狭心症などの合併症を引き起こす可能性があります。
弾力線維性仮性黄色腫の症状
弾力線維性仮性黄色腫の皮膚症状としては、側頸部や、肘窩、膝窩、腋窩、おへそなどの皮膚、口腔、膣、肛門の粘膜に、黄色丘疹が網状や線状に出現します。鳥肌に例えられるような状態になります。10代から20代の若い人に発症することが多いです。眼の症状としては、両方の眼の網膜に色素線条があらわれるようになります。他には、眼底出血や脈絡膜炎を併発することが多いです。
心臓や血管系の症状としては、内弾性板の変性石灰化によって、動脈波の減弱、間欠性跛行、末梢動脈の狭小化・閉塞などが起こります。腎動脈病変により、高血圧や狭心症、心筋梗塞などを併発する場合盛ります。脳血管障害や、消化管梗塞、肺、尿路などへの疾患があらわれる場合もあります。
弾力線維性仮性黄色腫の原因
弾力線維性仮性黄色腫の原因としては、2000年に体内の細胞で物質輸送に関与しているABCC6遺伝子の異常によることが発見されました。その後、劣性遺伝形式を取ることも明らかになりました。しかし、ABCC6遺伝子の異常が、なぜ全身の弾力線維の変性やカルシウムの沈着を起こすのかについては、いまだ明らかになっていません。よって、医学研究者たちは、本疾患の患者を対象に全国規模で調査を行い、さまざまな病理検査などが行われています。さまざまな部分に症状があらわれる疾患なので、皮膚科、眼科、循環器科、遺伝子解析、統計学解析などの様々な専門家の知識を集約して研究が行われています。現在でも、根本的な治療方法が確立されていない難病指定されている病気です。
弾力線維性仮性黄色腫の治療法
弾力線維性仮性黄色腫は、ABCC6遺伝子異常が原因であることが分かっていても、ABCC6遺伝子異常が弾性線維変性を発生させるメカニズムが分かっていないため、決定的な予防策はありません。弾力線維性仮性黄色腫と診断確定された場合には、その症状を最大限に抑えることが目標、治療となるでしょう。(それぞれに対症療法を行う)
心臓や血管への負担を避けるために、糖尿病や高血圧、高脂血症などの疾患を予防する必要があります。
また、お腹に圧力がかかったり、頭部に外傷を受けやすいようなスポーツは避けるのが賢明です。
皮膚の症状については、美容的形成手術、動脈性出血に対し、内視鏡による止血術、心臓血管系では、動脈硬化症に準じた薬物治療、ステント留置、血管置換術が対症療法として行われます。
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