症状

心挫傷になると、胸部外傷後の胸の痛みや、胸内苦悶などの症状があらわれます。呼吸運動によって脈が大きくなったり小さくなったりするような、心タンポナーデを発症する場合もあります。

また、心原性ショックを合併して、血圧低下や不整脈、頻脈、頻呼吸、四肢冷汗、冷感、頸静脈怒張などがあらわれ、全身がぐったりして、受け答えも鈍くなるような場合もあります。心タンポナーデや心原性ショックなどの症状があらわれた場合は、命にかかわる危険な状態なので早急な処置が必要になります。

診断については、心電図検査や心臓超音波検査、心臓核医学検査、心臓カテーテル検査などの検査を行うことにより診断を確定することができます。

原因

心挫傷の原因は、心臓付近の胸部を鈍的外力により強打することにより発症します。一例としては、自動車運転中に衝突事故などを起こした際に、ハンドルを胸に強打し、胸骨と脊椎の間で心臓に強い圧迫を受けるような場合が挙げられます。

また、高いところから墜落するなどの事故により、急激な減速などの衝撃を受けることにより、心臓が胸壁に強打されるような状態でも発症します。その状態を挟圧外傷といい、急激に胸腔の内部圧力が上昇することにより発生します。

これらの要因により、心臓表面に圧力が加わり、心筋組織の断裂や壊死、出血、むくみなどが生じることにより、心臓のポンプ機能に障害が出ることになります。

心挫傷に対する一般人が可能な応急処置はありません。一刻も早い救急救命士への通報が必要です。

治療法

心挫傷は、心臓付近の胸部に強い鈍的外力が加わることにより発生する疾患です。これらの事態が発生しうる状況は、交通事故や、高所からの落下事故などの様々な事故が考えられます。
よって、事故予防のために、自動車運転時は衝突事故を起こさないように十分注意する必要があります。また、工事現場など高所で作業を行うことが多い場所には、高所からの落下事故を防ぐために、充分に安全確認すると同時に、落下事故を防止するための安全対策を行う必要があります。
また、事故発生時に即時に救急救命を呼ぶための連絡手段を常に確保しておくことも必要です。