鉤虫症/十二指腸虫症の症状

鉤虫症は鉤虫という長さ1センチ程度の小さな寄生虫が小腸に寄生して起こる病気です。

この虫は、皮膚から侵入して1、2か月たって腸に行きつきますから、感染時にかゆみをおぼえます。初期の症状は主には幼虫が肺を通ることによるもので、呼吸をするときにゼイゼイという音がしたり咳が出たり、咽頭炎をおこしたりします。

幼虫が小腸にたどり着き、成虫になってからは、この虫は腸壁に噛みつきますから、出血を起こし、その結果貧血を起こすことになります。虫が少数の場合は大したことはないのですが、多数の虫が寄生した場合はたくさんの虫が血を吸うことにより、重度の鉄欠乏性貧血を起こし、動悸やめまい、息切れなどを起こすこともあります。

鉤虫症/十二指腸虫症の原因

鉤虫症の原因は鉤虫症の体内への侵入によるものですが、たいていの場合には土中にいる幼虫が皮膚から侵入します。食べ物に付着した幼虫を食べることによって感染する場合もあるようです。戦前までは日本でも人糞を肥料として使用していたこともあり、日本中で水田などからの感染が報告されていましたが、最近では国内で感染することはほとんどありません。

この虫の幼虫は亜熱帯から熱帯の広い範囲の土中に広く分布して、世界中で10億人の患者がいるとも言われています。特に温暖で湿気が多く衛生状態の悪い農村部に生息しているといわれており、最近ではこうした地域に旅行したり滞在した際に、感染するものが大多数を占めているようです。

鉤虫症/十二指腸虫症の治療法

鉤虫症は日本ではほとんど感染がみられませんから、予防するには海外へ行った時の対策が重要です。流行が確認されている地域では、土中に素肌をさらさないことによって、皮膚からの侵入を防ぎます。また、口から侵入する可能性もありますので、野菜などはよく洗い火を通してから食べることも重要な対策です。
また、感染の可能性がある地域から帰国して、下痢や腹痛、貧血などが起こるようであれば、渡航歴や、感染の可能性がある地域を訪れたことなどを医師に告げ、診察を受けたうえで、感染が認められたら駆虫して症状の悪化を予防することが必要です。