急性糸球体腎炎症候群とは
急性糸球体腎炎症候群とは、急性に起きる腎臓の炎症の一つです。主に糸球体に炎症が生じます。糸球体が障害されることで、血尿、蛋白尿、高血圧、浮腫などの症状が発症します。患者の過半数は何の症状も見られませんが、症状が現れても上気道の炎症が先に起こり、自然回復する場合が多いと言われています。一般的に、小児から若年者に多い疾患ですが、成人にも見られることもあります。
急性糸球体腎炎症候群の症状
急性糸球体腎炎症候群の三大症状と言われているのが、浮腫、高血圧、血尿です。血尿は、糸球体から出る赤血球が多い場合、肉眼でも見ることができます。少ない場合は顕微鏡で確認することができます。発症後2週間の間は、突然尿量が減少し、コーラ色のような尿がでて、そのあと色は正常にもどり顕微鏡的血尿が数ヶ月つづきます。血尿は、急性糸球体腎炎症候群になると必ず現れる症状です。
糸球体の機能が低下すると、血液を濾過する働きが悪くなります。これにより浮腫や高血圧が生じます。さらに進行すると、高血圧と脳の腫れによって、頭痛や脳機能の異常が生じることもあります。高齢者は、全身のだるさ、吐き気など漠然とした症状が多く見られます。
急性糸球体腎炎症候群の原因
急性糸球体腎炎症候群の原因は、身体に入った病原体であり、この病原体が腎臓の糸球体を障害したり、病原体に対する免疫反応により糸球体が障害されたりして、急性糸球体腎炎症候群が発症します。原因となる菌の大部分はA群β溶血性連鎖球菌といわれています。この溶連菌感染後の急性糸球体腎炎症候群の発生機序を説明します。まず上気道や皮膚に感染して症状を引き起こします。これと同時に血液中に抗体が作られ、抗体は菌を攻撃するために菌と結合します。結合した抗体と菌を免疫複合体といい、この免疫複合体が動脈を通り腎臓に入り、糸球体で濾過されるたびに沈着し、糸球体に炎症を起こします。
その他、原因となる菌として考えられるのは、黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、B型肝炎ウイルス、水痘ウイルス、マイコプラズマなどがあります。
急性糸球体腎炎症候群の治療法
急性糸球体腎炎症候群の予防には、基本的に食事療法と安静が大切です。食事制限として、腎臓の弱り方の程度にもよりますが、タンパク質の量を控えるようにします。また、体液が増えてむくんでいる場合は、水分やナトリウムも制限します。しかし、エネルギーが不足すると、代謝が悪くなり、タンパク質が有毒になるので、カロリー制限はしません。
薬物療法としては、細菌による扁桃炎がある場合は、抗生物質を使用したり、高血圧やむくみを改善するために、それぞれ利尿薬や降圧剤を使用します。扁桃炎を繰り返し、そのたび血尿や蛋白尿が見られる場合、予防のため扁桃体の摘出を考えなければならないときもあります。
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