先天性ビリルビン代謝異常症/クリグラー・ナジャール症候群の症状

先天性ビリルビン代謝異常症/クリグラー・ナジャール症候群は、1型と2型の2つの型に分類されています。
クリグラー・ナジャール症候群1型の症状では、強い黄疸症状が新生児期から現れます。治療をせずに悪化すると、高度の高間接ビリルビン血症の持続により、血管脳肝門を通過したビリルビンが脳に蓄積して脳が損傷されるビリルビン脳症 (核黄疸)になり嗜眠,哺乳不良,嘔吐などが現れ、その後に後弓反張,けいれんなどが現れて死に至ります。ビリルビン脳症が回復したとしても神経系機能障害を起こします。
クリグラー・ナジャール症候群2型は、重症である1型より軽度な黄疸症状として現れます。黄疸は新生児期から現れる場合もありますが、1歳以降に現れる場合もあり、ビリルビン脳症の発症例は少なくなります。

先天性ビリルビン代謝異常症/クリグラー・ナジャール症候群の原因

先天性ビリルビン代謝異常症/クリグラー・ナジャール症候群1型は、出生数1,000,000人につき0.6~1.0人が発症すると考えられています。発症は遺伝子異常の常染色体劣性遺伝が原因とされています。近親婚がこの危険性の割合を引き上げているといわれています。
クリグラー・ナジャール症候群2型は遺伝子異常を決定するのは難しいとされていますが、一般的には常染色体劣性遺伝と考えられています。
ビリルビンは古くなったり損傷を受けた赤血球のヘモグロビンから生成されます。ビリルビンには直接ビリルビンと間接ビリルビンがあり、直接ビリルビンは肝細胞での処理が終わったグルクロン酸結合型ビリルビンのことで、間接ビリルビンは肝細胞に取り込まれる前のビリルビンのことです。原因であるUDPグルクロン酸転移酵素の欠損により肝細胞内で適切に処理されず、間接ビリルビンが過剰に増えることで黄疸症状が現れます。

先天性ビリルビン代謝異常症/クリグラー・ナジャール症候群の治療法

先天性ビリルビン代謝異常症/クリグラー・ナジャール症候群1型の治療では交換輸血を行ったり、ビリルビン合成を抑制するための薬剤が投与されます。また、人工的に作り出した紫外線をあてて、光化学反応により分解したビリルビンを尿から排出させるために光線療法が行われ、排泄を促すための薬剤が投与されます。しかし、これらの治療は成長とともに効果が及ばなくなります。ビリルビン脳症を予防するために肝移植療法を行う必要があります。
クリグラー・ナジャール症候群2型では、フェノバルビタールによる治療が効果的で血中ビリルビンを減少させることができます。