クラミジア・トラコマチス肺炎の症状

クラミジア・トラコマチス肺炎はクラミジア・トラコマチスという菌へ感染して発症する肺炎です。主な症状は初期には鼻炎や結膜炎などがみられ、鼻水や軽度のせきがおこり、発熱はありません。悪化すると多呼吸や喘鳴というゼイゼイといった音のする呼吸、呼吸困難などが発生しますが、人工呼吸や酸素吸入を行わなければならないほど悪化することはあまりありません。嘔吐などを起こすこともありますが、全身状態にはあまり問題がない場合が多いようです。エックス線撮影をすると、両側の肺に間質性肺炎と同様の像がみられます。
この肺炎はクラミジア・トラコマチス菌に感染した妊婦から出生した新生児や乳児に多く見られ、成人の発症は極めて少ないといわれています。

クラミジア・トラコマチス肺炎の原因

クラミジア・トラコマチス肺炎の原因はクラミジア・トラコマチス菌の感染です。もともとこの菌は性行為により感染するものです。この菌による感染は性行為感染症の中で最も多く、妊婦健診では3~5%にクラミジアへの感染が認められるほどよくある感染症です。そしてこの数は増加傾向にあるとされています。自覚症状があまりないため、妊婦検診を受けてはじめて気がついたという場合も多いようです。
この菌は人を宿主にして人から人へと感染していきますが、この病気の主な患者である新生児や乳児へは、クラミジア・トラコマチス菌に感染した妊婦から、出産の際に新生児が産道を通ることによって感染することになります。感染した妊婦から新生児へ感染する確率は3~20%といわれています。

クラミジア・トラコマチス肺炎の治療法

クラミジア・トラコマチス肺炎は感染した妊婦から分娩時に新生児に産道感染します。このため、予防するためには、妊婦健診などで感染が発見されたら、早期に治療を行い、分娩までに治療を終えておくことが必要です。
治療は抗菌剤を1~2週間服用すればたいていの場合は治癒します。胎児への影響を考慮して妊娠5週以降に治療を行いますので、胎児への影響は心配しなくていいようです。また、分娩時以外には感染しませんので、それまでに確実に治療を終えておけば問題ありません。
ただ、いったん治療しても性行為により再度感染してしまうと全く意味がありませんので、治療を行う際はパートナーもあわせて検査を行い、感染が認められた場合には治療しておくことが重要です。