原発性線毛機能不全とは
原発性線毛機能不全症候群(primary ciliary dyskinesia、PCD)は、先天性の線毛器官の構造異常で、常染色体劣性遺伝と考えられており、そのことが原因となる機能不全です。線毛の機能不全により、不妊症などの症状がみられ、半数ほどで内臓逆位がみられ、慢性副鼻腔炎、気管支拡張症、内臓逆位などの特徴が見られます。白人の有症率は12,500〜40,000人に1人と言われており、日本人の方がやや多いと言われています。
原発性線毛機能不全の症状
原発性線毛機能不全の症状としては、線毛運動不全であり、先天的なものであることから幼少期から蓄膿症、中耳炎、気管支炎・気管支拡張症が見られます。全身性に線毛運動が障害されるため、吸入した異物や細菌を体外に排出できず、慢性気管支炎や肺炎になりやすく、気道感染を繰り返すことが多いのです。このため慢性的に咳をしたり、鼻の調子が悪く、蓄膿症になることも少なくありません。
原発性線毛機能不全の患者の中でも、気管支拡張症、内臓逆位、慢性副鼻腔炎の3症状が見られる場合、それはカルタゲナー症候群という名前がつけられています。
また男性、女性両方ともに不妊の原因となったり、嗅覚障害があるということも珍しくありません。
原発性線毛機能不全の原因
原発性線毛機能不全の原因は先天性と言われております。遺伝様式としては、常染色体劣性遺伝と言われており、常染色体優性遺伝や伴性劣性遺伝、遺伝子の突然変異による偶発的発症もあるようです。
どの場合も共通して言えることは、染色体による変異によるものであるということです。 ちなみに、発生頻度は2万から6万人に1人ぐらいといわれており、疾患をもった人の中の約50%ほどが、気管支拡張症、内臓逆位、慢性副鼻腔炎の3症状が見られるカルタゲナー症候群と呼ばれます。原発性線毛機能不全症では、線毛の構造に特徴的な異常が電子顕微鏡によって観察されます。ダイニンとよばれる線毛の物質異常が原因で、線毛が正しく機能しないといわれています。
原発性線毛機能不全の治療法
原発性線毛機能不全は、先天的なものであるため予防などは特にありません。ただし、合併症が多く、常に注意が必要です。インフルエンザワクチン接種を毎年受けたり、清浄な空気や環境を整えることも大切です。機関紙が弱いため、特にその必要があります。
また、呼吸困難になるような合併症が多いため、一人になることは避け、常に人が一緒にいるような環境にあることも大切です。特に幼少時から症状が現れますので、小さい時には目が離せない状況となることが多いようです。成人しても体調を崩さないよう、注意して過ごすことが必要となるでしょう。
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