抗利尿ホルモン分泌異常症(SIADH)の症状

抗利尿ホルモン分泌異常症というのは脳下垂体からの抗利尿ホルモンの分泌調節機能が何らかの理由で損われたことによるものです。抗利尿ホルモンを過剰に分泌したり、血管内の水分が多すぎる場合でも抗利尿ホルモンの分泌が抑えられないなどにより腎臓による水分の再吸収が亢進しすぎてしまいます。その結果、血液が希釈され、血中ナトリウム濃度が低下したことによる症状をさします。
具体的な症状としては、浮腫などは出ず、希釈性低ナトリウム血症による血中ナトリウムの低下による症状が発生します。血中ナトリウムがある程度まで下がると、食欲不振や悪心、嘔吐などが起こり、悪化すると、精神錯乱、けいれん、昏睡というような重篤な状況に至ります。

抗利尿ホルモン分泌異常症(SIADH)の原因

抗利尿ホルモン分泌異常症の原因は抗利尿ホルモン不適切な分泌か、腎臓の抗利尿ホルモンへの感受性が高まるために起こるといわれています。
このうち抗利尿ホルモンの不適切な分泌の原因は、脳の外傷、脳の血管系の障害、脳炎、肺がんなどの肺疾患、髄膜炎などの中枢神経疾患、膵臓がんなどが原因となる場合が多いと言われています。脳の手術後に起こることはよくあります。肺癌や膵臓癌では癌自体が抗利尿ホルモンを分泌する場合があるといわれています。また、こうした疾患以外に抗利尿ホルモン産生性の腫瘍によるものもあります。
また、薬剤の中には、腎臓の抗利尿ホルモンへの感受性を変化させる場合があり、この場合も抗利尿ホルモン分泌異常症を発症する場合があるといわれています。

抗利尿ホルモン分泌異常症(SIADH)の治療法

抗利尿ホルモン分泌異常症の予防は、抗利尿ホルモンの分泌異常を引き起こすといわれている脳の外傷、脳の血管系の障害、脳炎、肺疾患、髄膜炎などの中枢神経疾患、膵臓がん、肺がんなどを防止する対策になってきます。
抗利尿ホルモン分泌異常症は、放置しておくと死に至る可能性すらあります。原因となる病気によって予後は大きく変わるとされています。早急に担当医に相談する必要があります。そして、水分摂取の制限や抗利尿ホルモンのはたらきの抑制などの対策を講じ低ナトリウム血症の症状を抑えるなど、早期に治療を開始することが重要です。