肺吸虫症/肺ジストマ症の症状

肺吸虫症/肺ジストマ症は肺に肺吸虫が寄生することによる病気ですが、主な症状としてはせきと血痰があげられます。ひどくなると胸水の貯留や気胸なども発生し、こうなると胸が苦しくなってきて、エックス線撮影をすると肺がんや肺結核と類似した映像がみられます。
この肺吸虫は肺だけでなく他の場所へも寄生することがあります。この場合20~45%が中枢神経を侵すといわれています。最も深刻なのは脳にまで入り込んだときで、この場合は脳腫瘍に似た症状が現れ、失語、てんかん、半身まひ、視覚障害などの深刻な状況になる場合もあります。また、髄膜炎などを起こすこともあります。このような脳の深刻な被害は肺の症状が出てから1年以内に発症します。

肺吸虫症/肺ジストマ症の原因

肺吸虫症/肺ジストマ症の原因は肺吸虫です。肺吸虫はザリガニ、モズクガニ、サワガニなどの中にいる幼虫をカニなどと一緒に食べることによるものなのですが、ブタやイノシシにも寄生することがあり、これを食べることにより感染する場合もあります。いずれの場合も過熱が不十分である場合が問題になります。

口から入った幼虫は腸に寄生し、その後腸管に穴をあけて、腹膜、横隔膜、胸膜腔を経て肺に至ります。ここで雌雄同体の成虫になります。この肺吸虫が肺に嚢胞をつくり人体を破壊することによって様々な症状が発生することになります。

成虫は脳や肝臓、リンパ節、延髄などでも生育することが可能ですから、寄生した場所により様々な症状を発生させることになります。

肺吸虫症/肺ジストマ症の治療法

肺吸虫症/肺ジストマ症を予防するには、体内に幼虫を宿しているザリガニやモズクガニ、サワガニを食べないか、食べる場合は、十分に加熱して食べることです。感染したブタやイノシシから感染する場合もありますので、ブタやイノシシの肉も十分に加熱して食べる必要があります。

こうした食材を調理したまな板や包丁には幼虫がいる可能性がありますので、かならずきちんと洗ってから他の食材をさばくように注意することも大事なことです。

また、肺吸虫が脳に寄生すると事態は深刻になってきますので、肺に症状が現れた段階できちんと治療しておくことが、神経症状の発生を抑えることになります。
治療は、抗寄生虫剤が有効ですので、早期に服用すれば重症化は防げるといわれています。