ニューモシスチス・カリニ肺炎とは
ニューモシスチス・カリニ肺炎は、ニューモシスチス・イロヴェチという原虫とカビの性質を合わせ持った微生物が肺に感染し、増殖することによって引き起こされる肺炎です。近年の血清学的検索により大抵の人は2〜4歳の時にこの菌に感染していることが判明していますが、免疫機能が正常な人は無症候保菌にとどまり、免疫機能が低下すると発症します。
ニューモシスチス・カリニ肺炎の症状
ニューモシスチス・カリニ肺炎を発症すると風邪のような症状に始まり、徐々に悪化していきます。体のだるさから始まり、痰をともなわない乾いた咳、発熱、体重減少が起きます。また、初期であっても息苦しいなどの症状が現れてきます。同時に、肺における血液を酸素化する能力が大きく低下します。そのため体全身に酸素が行き渡らなくなり、呼吸困難となります。重症化すると、皮膚や粘膜が青紫色になるチアノーゼを引き起こし、最終的に心肺停止となります。適切な治療を行わないと死亡率が高くなります。
また、このニューモシスチス・カリニ肺炎はエイズなど免疫能が著しく低下した患者の日和見感染として発症することがほとんどです。
ニューモシスチス・カリニ肺炎の原因
ニューモシスチス・イロヴェチという真菌はほとんどの人が生後すぐに感染し、保菌しています。しかし、この菌はJAL独菌であり、正常な免疫能力を持つ人が発症することは非常に希です。この肺炎にかかる主な原因は、体内の免疫力が低下することにあります。ガンや臓器移植のために化学療法を行っていたり、ステロイド剤・免疫抑制薬の長期服用、さらに後天性免疫不全症候群(エイズ)などによる免疫低下が主な要因となっています。エイズ指標疾患の中で最も多い日和見感染症で、治療を行わない場合は致死的です。
以前ではカリニ肺炎と呼ばれ、ラットから発見された病原体が原因であるとされていましたが、現在ニューモシスチス・カリニ肺炎と呼ばれ、真菌とは異なる種類であることが判明しています。
ニューモシスチス・カリニ肺炎の治療法
ニューモシスチス・カリニ肺炎は主に免疫力が低下した患者の日和見感染で起きることが多いです。免疫抑制剤やステロイド剤の長期投与、臓器移植や悪性疾患、エイズなどで著しく免疫が低下すると予測される場合には予防的に抗菌薬を使用することで肺炎を防ぐことができます。ニューモシスチス肺炎は早期治療で救命率が高くなります。
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