急性壊死性潰瘍性歯肉炎/歯周炎とは
急性壊死性潰瘍性歯肉炎(ANUG)は、病変が歯肉から始まり、辺縁部歯肉や歯間乳頭部に潰瘍や壊死を形成することからこの疾患名がつけられています。歯肉の疼痛と異様な口臭が特徴であるとともに、細菌検査で紡錘菌とスピロヘータが異様に増加することから「ワンサン感染症」とも称されています。症状が悪化すると、辺縁歯肉などにクレーター状潰瘍を形成する場合があります。 直接的な原因ははっきりしていませんが、疲労やストレスが危険因子としてあげられます。また、地中海地方など地域的な発現もみられています。
急性壊死性潰瘍性歯肉炎/歯周炎の症状
急性壊死性潰瘍性歯肉炎/歯周炎では、突然歯と歯の間の歯肉が痛んで腫れあがります。1~2日で歯の間の歯肉は壊死し、潰瘍ができ、偽膜という白血球、赤血球、フィブリン、壊死組織片、細菌塊などからできた灰白色の膜の形成と強い痛みと強い口臭などの症状が現れます。歯と歯の間の歯肉が壊死した後の潰瘍部は偽膜でおおわれます。偽膜は容易にはがれるので、はがれると潰瘍部が露出し、出血もしますし、食事や歯磨きなどで激しく痛みます。
普通は歯と歯の間の歯肉と歯の縁の歯肉に病変は限られ、数日で治癒しますが、重症の場合は歯槽粘膜や扁桃など周囲組織にも病変がひろがり、発熱、頭痛、倦怠感や、頭と首のリンパ節の腫れなども出てくることがあります。
急性壊死性潰瘍性歯肉炎/歯周炎の原因
急性壊死性潰瘍性歯肉炎/歯周炎の原因ははっきりしません。口内の不衛生、ストレスや喫煙、栄養障害、口内の他の病気、免疫力低下などが原因とも言われています。原因は不明ですが、通常はバランスが取れている口内細菌が過剰になった結果、口内細菌によって歯肉の感染と炎症がおき、歯と歯の間の歯肉に痛みを伴う潰瘍が生じたときに急性壊死性潰瘍性歯肉炎/歯周がおこります。こうした細菌の増殖はウイルスの感染による場合もありますが、危険因子としては、口腔衛生の悪さ、栄養の不良、喉や口などの感染症、喫煙、精神的なストレス、免疫力の不全といったどちらかといえば全身症状が多くあげられています。病変部には紡錘菌、スピロヘータの異常増殖も見られますが関係は不明です。
急性壊死性潰瘍性歯肉炎/歯周炎の治療法
急性壊死性潰瘍性歯肉炎/歯周炎の原因は不明ですが、危険因子はいくつかあげられています。こうした要素を避けることによって予防するしかありません。口腔内の衛生の確保や喉、口、歯などの感染症の防止は当然です。加えて、良好な栄養状態、ストレスのない生活、禁煙、免疫力の保全など、どちらかというと全体的な体調の維持の方が重要なようです。これに加えて、睡眠や休息、適度な運動なども重要と言われています。
洗口剤やうがい、フロスや歯磨きなどで口の中を清潔に保ち、場合によっては抗生剤を使用することで治癒するのですが、重症化するとやっかいですから、歯科医の診察を受けて、適切な治療を受けることが勧められます。
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