食道非上皮性腫瘍の症状

食道非上皮性腫瘍は食道粘膜の下から発生する腫瘍で、食道内部に隆起する場合と食道壁の外側に発達する場合、その中間の場合があります。

食道非上皮性腫瘍には良性と悪性がありますが、多くは良性であり、腫瘍の表面に正常な上皮がかぶっている粘膜下腫瘍です。

食道非上皮性腫瘍は一般的には無症状です。腫瘍の表面が平坦であり、腫瘍ができても普通は嚥下困難などの症状を訴えることはあまりなく、多くはバリウム造影検査や内視鏡検査で発見されています。

ただ、腫瘍の表面に潰瘍やでこぼこがあるもの、あるいは腫瘍の増大傾向がみられる場合は頻度は少ないもの悪性腫瘍の可能性があります。悪性腫瘍の場合などでは腫瘍が急速に増大することによる嚥下困難などの通過障害が発生します。

食道非上皮性腫瘍の原因

食道非上皮性腫瘍の原因は今のところ解明されていません。アルコールや薬物の刺激という説もあります。食道がん一般については喫煙との因果関係が示されていますが、これは主に扁平上皮癌であり、食道非上皮性腫瘍の場合はそこまで明確な因果関係があるわけではないようです。

比較的発生割合の少ない平滑筋種の中には、子宮頸部扁平上皮癌の原因とされているパピローマウイルス感染により腫瘍ができる場合があり、この場合パピローマウイルスによる遺伝子の制御異常が原因といわれており、かなり詳細に解明されてきているといいます。また、他の食道非上皮性腫瘍についてもパピローマウイルスの感染と同様に遺伝子の制御の不調によって発症するという見方もあります。

食道非上皮性腫瘍の治療法

食道がん一般に対する予防効果としては禁煙の効果がみとめられています。しかし、食道非上皮性腫瘍の場合には喫煙との因果関係も明らかではなく、効果的な予防方法は現在のところありません。
食道非上皮性腫瘍は基本的に自覚症状がなく、腫瘍が小さい場合は特に治療を行わず経過観察することが普通です。できればこういう腫瘍が増大する前に発見することが、腫瘍の症状悪化や悪性腫瘍であった場合の処置を講ずるうえで重要な対策となります。食道非上皮性腫瘍はバリウム造影検査や内視鏡検査で発見できるので、年に1度は検診などを受診することが大事です。


多くの食道非上皮性腫瘍は良性であるため、経過観察になることが多いでしょう。
経過を見ていくうちに、腫瘍が大きくなってくる場合は切除が必要となります。
切除方法は、腫瘍の発生部位等により異なりますが、内視鏡的粘膜切除術や、胸腔内に3〜4箇所から孔をあけた状態で、内視鏡下手術が行われる場合もあるでしょう。