細菌性赤痢とは
細菌性赤痢は、赤痢菌によって、血便を伴う下痢が引き起こされる感染症です。感染症法によって、医師は患者や無症状病原体保有者などを保健所に届け出る義務があります。日本では、1年間に500人から600人が発症しています。
細菌性赤痢の症状
細菌性赤痢には、赤痢菌に感染後、1~5日間の潜伏期間があり、大半は3日以内に発症する病気です。全身に倦怠感が生じ、悪寒を感じ、1~2日間高熱を発します。水様便や膿粘血便とともに、腹痛が起こりますが、便意は強いものの、なかなか排便ができない、しぶり腹の症状が現れることもあります。大腸には、出血性化膿性炎症や潰瘍が生じるケースもみられます。
近年日本では、赤痢菌を保有しても、軽症の下痢で済むケースや症状が現れないケースが多くなっています。細菌性赤痢は、成人よりも、小児や高齢者は重症化しやすい傾向があります。
細菌性赤痢の原因
細菌性赤痢を引き起こす赤痢菌には、4種類あります。志賀赤痢菌ともいわれるディゼンテリー菌が最も病原性が強く、フレキシネリ菌も赤痢菌の症状が出やすい菌です。日本では病原性の弱いゾンネ菌への罹患が、多くを占めています。この他の赤痢菌には、ボイド菌がありますが、日本で罹患することはあまりありません。細菌性赤痢は、赤痢菌によって汚染された食品や水を媒介として広まり、感染したヒトからヒトへも便を介して感染します。赤痢菌は、10~100個程度と、比較的少量の菌でも感染するため、家庭内での二次感染が起こりやすい伝染病です。
細菌性赤痢の治療法
細菌性赤痢の予防ワクチンは開発されていません。細菌性赤痢は、主に衛生状況の悪い国で多く見られる病気であり、インドやインドネシア、タイなどのアジアは、感染の広がりやすい地域です。上下水道を整備し、手洗いを徹底するなど、衛生状況の改善によって、感染を抑えられます。海外へ渡航した際に、汚染地域ではこまめに手洗いを心掛けましょう。生ものや生水、氷は避けるようにし、ミネラルウォーターなどを飲用するようにします。
治療には、抗生剤の投与や、補液などが行われます。
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