巨人症の症状

巨人症とは、その名の通り、身長が異常に高くなる病気です。
子どもの身長が周囲の子に比べて明らかに高い場合(男子で185㎝以上、女子で175㎝以上の場合あるいはそうなりそうな場合)、両親の身長も考慮し巨人症の可能性を考えます。

その他の症状としては、成長ホルモンが過剰であることにより、多量の発汗や高血圧、糖尿病を引き起こすことがあります。女子では、ホルモンの異常により無月経ないし月経周期異常を起こします。

また成長ホルモン過剰の原因はほとんどが下垂体の腫瘍であり、腫瘍による頭痛や視野障害(両目とも耳側が見えにくくなる)などの症状を起こすこともあります。

巨人症の原因

巨人症の原因は成長ホルモンという脳の下垂体という部位から放出されるホルモンが過剰に作られることです。
成長が止まる前の子どもの時期に成長ホルモンが過剰になると身長が異常に伸び、巨人症となります。一方、成長が止まった後に成長ホルモンが過剰になると、先端巨大症(末端肥大症)となり、身長は伸びませんが手足が大きくなったり、顔の骨の変形が見られたりします。

成長ホルモンが過剰に作られる原因は、ほとんどが下垂体腺腫という下垂体の腫瘍です。下垂体腺腫のほとんどはホルモンを産生しないのですが、まれにホルモンを産生するタイプのものがあり、成長ホルモンを過剰に産生する場合に巨人症の原因になります。

その他、非常に稀ですが、肺や膵臓の腫瘍も成長ホルモン増加の原因になることがあることが知られています。

巨人症の治療法

まず、巨人症の原因となる成長ホルモン産生下垂体腺腫の予防法は現時点では知られていません。早期発見と適切な治療で治癒が期待できますので、子どもの時期に、周囲に比べて、またご両親の身長を考慮して身長が異常に高い場合には受診をお勧めします。

巨人症の最も根本的な治療は、下垂体腺腫を手術で取り除くことです。下垂体は鼻から比較的近い部位に存在するため、手術方法は開頭手術ではなく鼻からアプローチする方法が一般的です。手術が難しい場合は放射線治療(サイバーナイフ、ガンマナイフなど)を行います。

術後にまだ成長ホルモンが過剰な場合には成長ホルモンを抑える薬物治療を行います。また術後に他の下垂体から産生されるホルモンが欠乏した場合には薬物によるホルモンの補充を行います。