医師監修

ライ症候群とは

ライ症候群とは、小児に発生する急性脳症の1つです。小児がインフルエンザや水疱瘡等のウイルスに感染した際に、解熱剤としてアスピリンを使用することによって、ライ症候群の発生リスクが上昇することが近年明らかになっており、使用を避けるよう警告が出ています。脳だけでなく肝機能にも障害がみられるのが特徴で、生命に関わる重篤な病気です。

ライ症候群の症状

ライ症候群の症状は、時間が経過するに従って変化していきます。初期では、
・嘔吐が続く
・話しかけても答えないなどの意識障害
・暴れる
などの行動の変化が出現し、進行すると
・過呼吸
・痙攣
・無呼吸
・除皮質硬直や除脳硬直
といった脳に障害がでてきている時特有の体位等がみられるようになります。
   
以上の症状は以降も継続し、重度になると、昏睡、脳浮腫、瞳孔の拡大等を経て、呼吸停止に至ることもあります。
症状のステージ分類は5段階に分けられており、
1.意識
2.肢位
3.痛覚
4.瞳孔反応
5.眼球の反射
の5つにおいて評価されます。ステージ1では点滴を含む入院治療が適切とされていますが、ステージ2から5では集中治療室におけるチーム医療が不可欠となっています。


ライ症候群の原因

ライ症候群の自体はかなり珍しい疾患です。原因は不明とされていますが、1980年代の研究において、サリチル酸化合物であるアスピリンを、インフルエンザや水疱瘡に感染している時の使用と、ライ症候群の発生リスクの上昇との関連が指摘されました。
  
事実該当疾患でアスピリンを使用しないよう警告が出されて以降はライ症候群の発症例は減少しています。ライ症候群において重篤な症状が出る理由は、肝臓のミトコンドリア代謝の障害によるもので、脂肪酸代謝の異常から、他の代謝系にも異常を及ぼし、脳浮腫を引き起こすと考えられています。アスピリンはライ症候群の発端となる肝機能障害を誘発する「炎症性サイトカイン」の放出に関与しているのではないかという見方がされています。


ライ症候群の治療法

ライ症候群を予防するためには、15歳以下の小児がインフルエンザや水疱瘡に感染している時には、アスピリン系の薬剤を使用しないことが重要とされています。ライ症候群を発症した際には、モニタリングとともに症状の緩和を目的とする支持的な治療が行なわれ、血糖値や血圧、肺機能、痙攣、脳圧、体温等を管理します。患者の状況に応じて、高アンモニア血症に対する投薬やマンニトール点滴による脳浮腫の治療、血液凝固障害に対する新鮮凍結血漿製剤の投与、脂肪酸異常に対するカルニチンの投与、交換輸血または血液透析等が選択されます。
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