軟骨無形成症の症状

軟骨無形症の外的な症状は
・低身長
・鼻の骨の陥没等顔の中心部が低くなる
・下顎が出ている
・背骨の彎曲
・臀部の飛び出し
・O脚
・三尖手(手の第2指と第3指もしくは第3指と第4指の間が離れている)
・骨盤が小さい
等があります。
全身の骨に異常が出ることによる合併症も多くみられ、中耳炎や背骨の変形による神経症状や歩行障害、排泄障害等、水頭症など脳神経系の症状、睡眠時無呼吸症、噛み合わせの問題、肩や肘の亜脱臼、運動能力の発達の遅れ、腰痛や関節痛等があります。

知能に関わる問題はみられませんが、滲出性中耳炎によって聴こえが悪くなると、言葉の発達に影響が出る可能性があります。各症状の重症度は個人差がありますが、概して生命に危険があるレベルの合併症を伴うケースは少ないといえます。

軟骨無形成症の原因

軟骨無形成症の原因は、遺伝子の突然変異だということ近年わかっています。具体的には、第4染色体にある「線維芽細胞増殖因子受容体3」に変異が起こり、骨が縦方向への成長が阻害されます。この染色体異常は「常染色体優性遺伝」に類する遺伝性の疾患ですが、8割以上は両親ともに軟骨無形成症ではないケースで発生しています。そのため両親ともに病気がなく第1子が軟骨無形成症だった場合でも第2子も同様の病気を持つとは考えにくいといえます。
  
常染色体優性遺伝では
・両親ともに軟骨無形成症の場合→子どもが発症する確率は75%
・両親のいずれかが軟骨無形成症の場合→50%
となりますが、両親ともに軟骨無形成症の場合では、染色体異常の遺伝子が重複することにより致死性の「ホモ接合体」になる可能性も25%存在しています。

軟骨無形成症の治療法

軟骨無形成症を遺伝子レベルで治療する方法は今のところありません。そのため、軟骨無形成症の治療は
1.合併症への対処療法
2.骨延長手術
3.成長ホルモン注射
が年齢や症状に応じて行なわれています。
  
2は身体の持つ治癒力を利用して骨の延長を試みる治療法で、延長を試みる部位を手術で骨折の状態にし、部品の長さを調節できる「創外固定器」という器具をつけて骨を伸ばします。3は3歳から、骨の成長がストップしたことを示す骨端線の閉鎖がみられるまでの間必要と認められた患児に対して行なわれますが、脊柱管狭窄症等の合併症を悪化させる可能性もあります。