溶血性尿毒症症候群の症状

溶血性尿毒症症候群は腸管出血性大腸菌感染症が進行した病気です。そのため初期の段階では胃腸炎の症状が現れます。吐き気、嘔吐、発熱、下痢、腹痛などが見られます。そのほか貧血による疲労感や倦怠感があり、顔色が悪くなります。溶血のために黄疸が出ることもあります。便は血便になるケースが多く、急性腎不全に陥ると尿の量が減少します。
  
毒素が脳を侵すと、刺激に対して過敏になり、さらに症状が重くなるとけいれんを引き起こします。尿毒症により意識障害が現れる場合もあります。最悪の場合死亡することもあるため、早めの治療が必要です。

溶血性尿毒症症候群の原因

溶血性尿毒症症候群は、腸管出血性大腸菌感染症が重症化した病気です。O157を代表とする腸管出血性大腸菌は牛の大腸内に住んでおり、腸管出血性大腸菌に汚染された食品や水、手などを介して経口感染します。感染力が強く少ない菌で感染し、腸炎となります。
  
腸管出血性大腸菌はヒトの腸の中でベロ毒素という毒素を出し、腎臓内で溶血が起きます。並行して急性肝不全を引き起こし、尿毒症を発症します。尿毒症は尿素などの老廃物が血液中に残り、知力減少や昏睡などの意識障害を引き起こします。また、O157の感染から数日後に約5%の小児が、溶血性尿毒症症候群にかかるとされています。

溶血性尿毒症症候群の治療法

O157はじめとする、腸管出血性大腸菌の感染予防が効果的です。日ごろから十分な手洗いを心がけることが勧められます。また、O157は生のひき肉や無殺菌の牛乳、チーズなどから感染します。摂取する場合にはよく加熱することが大切です。そのほか、井戸水などから感染する場合もあります。不用意に井戸水を口にしないよう気をつけます。
  
万が一、腹痛や血便を伴う下痢が現れたら、速やかに医療機関を受診します。溶血性尿毒症症候群にかかると、回復後も腎機能に障害が残るケースもあるため、定期的な診察が必要です。